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一癖創作自転車家 狸サイクル 西東京 青梅街道 新青梅街道 伏見通り |2018年08月 tp://cnt.affiliate.fc2.com/cgi-bin/click.cgi?aff_userid=45871&aff_siteid=43545&aff_shopid=63" target
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一癖創作自転車家 狸サイクル 西東京 青梅街道 新青梅街道 伏見通り

ロード・ピスト系自転車に興味のある人。買い方乗り方が分からないという人。持っている自転車を改造してみたいという人。自転車のイベントに参加したいと思っている人。ご来店お待ちしています!

柔道一直線! 自転車平行線!



 ものは悪くないが、扱いの悪い自転車引いて持ってきた。いかにもスポーツ選手、学生、気のいい顔。

 学生寮に置いておいたが、反省して、これから屋根のあるところにしっかり管理しますんで、ちゃんと乗れるようにして欲しい。

 聞いてみると、柔道部の学生だった。

 東京五輪狙っている?いや層が厚すぎて・・・。まあ、そうだろう。

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 全後輪のパンク状態だったが、まあチューブ交換してやればなんとかね。

 ところで、この自転車どんな乗り方してんの?まあ、この辺をちょろちょろと・・・。

 あのねえ、これはそういう使い方するのはもったいない自転車だぜ。例えば、百キロ乗るとかね・・・。

 百キロ?・・・ですか?そう、百キロ、君らの体力なら難なく行けるよ。

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 チェーンとスプロケがサビサビだった・・・。チェーンは交換、スプロケは洗浄。ほとんど新車に見えるぜ、驚くだろうな。

 ここにはよく早稲田の学生諸君が来るんだが、サッカー、バスケ、バレーボール・・・準硬式野球と色々ね。共通しているのが、膝どうだい?と聞くと大抵痛めているね。

 ところで柔道はどう?

 柔道でも膝は痛めますよ、お互い足払いしあったりしますからね・・・。

 そうか格闘技であったことを忘れていた。なら膝壊したらどうする?

 こういう問いからいつもの展開が始まります。なんで、自転車をクロストレーニングの道具として使わないか?というやつです。

 ランニングはすべてのトレーニングの基礎・・・、こういうことは浸透しすぎている。なればもし大切な膝をけがしたときなど、どうするの?なんて質問からしていく。

 前に三枚のギアがある、底が抜けたように軽いギアがあるよね、あれなら膝に負担がかからない。サイクリングすれば、景色が変わる、退屈しないよね。知らず知らずのうちに、長時間乗れてしまう。毛細血管が隅々まで伸びていく。

 もし膝に負担を掛けないサイクリングを長時間、長距離することで、基礎的な持久力を上げることができたら?

 この柔道革若者の目が、徐々に輝いてくる。大抵は聞き流されるんだが・・・。

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 シフトのワイヤーもダメだったなあ、切れはしないがへんに錆びていた。

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 チェーン、ワイヤーは何度も言うが、メンテの基本であります。これで申し分ないね。

 この自転車を預かる間に、代車を出してやった。サドルをしっかりあげて、膝に負担を掛けないように。最初違和感あるようだったが、さすがスポーツ選手だけあって、飲み込みがいい。


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 こいつも納車の際に、適切な位置まであげてやろう。

 スポーツ選手なら、すべてが練習に行き着くように考えるべし!自転車だって、漠然と乗っているのではない!と言いつつも、練習といえば、筋トレや、技、乱取りなどと思っているわけで、それを広げて、日々のサイクリングにまで敷衍をしようとするのは難しいかも知れない。

 でも、ではトレーニングとして、基礎的なトレーニングとしてサイクリングを取り入れよ!は、何度言っても言いすぎることはない・・・と思うのよ。

 それは、足に障害のあるアスリート。車いすバスケット、車いすテニス等の選手は、すべてのアスリートがランニングをするように、車いすをつかってのランニング?を当然基礎的トレーニングとして取り入れている。

 車椅子形の三本ローラーなどに載せて、何十分も腕でこいでいる。

 それ見たときに、車椅子マラソン、車椅子の陸上選手だけでなく、すべての車椅子アスリートがそれをやっているとすれば・・・。

 障害のないアスリート達が、ランニングをするように、サイクリングを基礎的なトレーニングとして、取り入れて何ら不思議な事は無い。全くない。問題があるとすれば、意識の問題だけだろう。

 つまり、移動手段としてしか自転車を考えない発想、または自転車は自転車競技の選手のための特殊な道具という、このどこにもある両極の発想から抜けきれないところから来る意識の障壁の問題、といえるんじゃないか?

 この柔道一直線の選手に、自転車を平行線で走らせることができたら、それを彼が本気に取り入れることをしたら・・・、試合の後半に集中力が切れなくなったとか、連戦の後半で息が切れなくなった、最後まで落ち着いて試合を運べるようになった、そして、怪我の時一切心肺機能が落ちるどころか、むしろ上がり、かつ精神的にリラックスができるようになった・・・。

 等という報告が聞こえるようになるかも知れない・・・。それにはポジションをしっかり出してやらないとな。眉唾なヤツらには改造ママチャリでのトレーニング貸し出しなんかやればいいのかも知れないね。

 早稲田の運動部が近くにある・・・、そろそろ仕掛けていってもいいのかも知れないね・・・。
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電動を乗り続ける



 これは珍しい症状ですね。店主は一度だけ、自らのホイールがこのように陥没したことがありました。

 とにかく乗って乗って乗り倒したホイール。プラス、ブレーキシューをけちってやっているウチにシューを通り越してその枠の船の部分、つまり金属がリムに干渉していたこともあった、そういうホイールだったんですが・・・。

 まだ大丈夫だろう、まだ大丈夫だろうとある日見たとき、亀裂の入ったリムの一部がこのようにまくり上がる寸前だったということ・・・、気づいて良かった・・・。

 下りのブレーキングで、ブレーキがリムに食い込んでロックしたら・・・とぞーっとしたことがありましたが・・・。

 それを彷彿とするリムであります。

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 毎日八キロ往復六年・・・でこうなったとあります。

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 電池も最近さえないという・・・。さて買い換え?

 大変悩んでいたようですが、どうもどこからか電池は格安で入手ができるということらしいですね。あと二年は持ってくれるとうれしい・・・、さて。

 前輪はどうやってもリム交換でしょう。後輪も・・・相当やれています。

 悩んだ末の結論は、電池交換してあと二年、どうしても持たそう、前後ホイールの交換ということに決定。

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 確かに組み直すと、普通に走ります・・・、当たり前すぎですが、実際にこうして組み付けてみると、やっぱり直してよかったと思いますね。捨てるのは簡単です。

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 後輪も内装三段で、小径という事もあり、電動と合わせると、いい組み合わせですね。

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 パナソニック、フレームは頑丈で、やはり電池の値段が肝になるようですね。だから高くされている。買替え需要を増やすために・・・じゃないか?と思いますがね。

 どこだかは知りませんが、どうも取り替えバッテリーが、安いところがあるようです。自己責任・・・という覚悟が必要なようですが、そのくらいの値段だと、継続して乗ろうという判断ができる。ウーンなかなか複雑な問題ですねえ。

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 ブレーキシュー交換で、前ブレーキの効きもアップ。

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 試乗してみるに、やはり既にパワーが無い。アシスト・・・オオ、ちょっとアシスト効いているかな?というくらい。蚊の鳴くようなアシスト・・・。これが電池が新しくなることで、息が吹き替えるのか?

 代わったホイール類はよく回るんだが・・・。

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 とりあえず、自転車としての走る条件は整えたんで、あとは電動内部の問題として、そちらにお返しいたします。

 このなんとも切なさが・・・、手の出しようのなさが、電動に対して積極的に動けない要因であることの自覚はあるんだがね・・・。


頂上までの道は複数あり



 依頼自身は簡単で、このピクニカという自転車のここに、

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 このノバテックのホイールをはかせてくれないか?というものであります。もちろんポン付けできるはずがない。できれば当店には持ってこないだろうからね。

 まず、シャフトの長さが足りない、圧倒的に足りない・・・・。ただしそれを利用して、中空シャフトであれば、エンドの幅で調整して、スペーサーで整えて、クイックシャフトを通してやれば、即取り付け完了とはなる・・・。

 ただし、元々中空シャフトではない。旋盤でもあれば中空の穴開けができるか?とも思うが・・・、それはなし。

 なれば中空シャフトに交換してしまう・・・という手もありだが・・・、実はこのシャフト10ミリのものではなく、実用車にある3/8インチというくせ者だったのだ。ほぼそのサイズの中空シャフトはない・・・。

 そして、それだけではなかった。

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 まずはバラさなければ、わからないとばかり、当然ハブをバラしていきます。そして取り出したシャフトを見て・・・、

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 この太さの不均一の凝った作りのシャフトを目の前に・・・・こんな所に凝らなくても、バカたれが・・・と思わずつぶやいてしまった。

 そうなると・・・、エエ?いったいどうすればいいんだ?

 様々な選択肢が浮かんでは、消え、打ち消し・・・、その中の二本をまず試すための準備をすることに。

 まずシャフトを単純化させないといけない。そのために単純化したシャフトを支える、ベアリングの発注だ。

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 ちなみに上の二個が、元々付いていたベアリング。二個とも外径も内径も厚みも違う、二種類のベアリングを使っている、シャフトが凝っているので、ベアリングが凝らざるを得ないわけだ。

 そこで、下の二個。外径と厚みはデフォルトに従わないとハブに収まらないので、その通りにして、内径のみ両者10ミリ統一というのを頼んでみた。

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 そして、もう一本の道。シャフトを部分的に加工する可能性もあるので3/8の24というダイスを購入。問題は、こいつを使って、10ミリのシャフトのねじ山を修正するのが楽か?10ミリ1ピッチのタップでナットの方を修正するのが楽か?その辺を作業しながら天秤に掛けるしかない。結果は、このダイスは使わず、タップ処理を優先にした。

 ただし、実用車のハブをいじることは今後あるので、この手のダイスは無駄にはならない、だろう・・・。

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 まずは実験、購入したベアリングをハブに収める。当然入る。そして10ミリの鋼材を通してガタを見る。ガタなし。

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 ではこいつに山を立てましょう。

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 10ミリ1ピッチのダイスでねじ切り。

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 固いが、ねじ山はスルスルと行く、なかなかこうした好感覚のものはないが、今回の鋼材はあたりだ。

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 再度シャフトを通してスペーサーの調整をかける。

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 まあ、ここまで来るのはまた一律ではなかったわ。気に入ったタップ一本を折るなどということも起きた・・・。また当然調整も癖ありだらけ・・・。

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 まあ、この散乱・・・が、今回の死闘を物語ってくれるだろう・・・。

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 ちょいとチェーンラインが極端にも見えるが・・・、まずはセンターは出て、取り付け完了!

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 ただし、終わりではなかった・・・、こいつもまたリベンジだわ。

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 今回記事には書かなかったが、キャリパー付けもおこなった。それは元々付いていたホイールで行ったのだが、フリーの1が今回のホイールは内側に来る事から、こうしたブレーキとの干渉が起きてしまっていたのである。

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 向きを変えるか・・・?

 この辺は再度挑戦していかねばならないが・・・、まあ同じ山を登るのにも、複数の登坂ルートがあるということを、再度思い知らされる。要は頂上に着けばいいんだが・・・、大変だが山刀を持ってルートを作っていく作業は、基本面白い。

 そしてこれをやるしか、山を登る力は付かないだろう・・・、体力気力も尽きて登坂しなくなったとき、自転車屋は廃業、パンク修理だけなんて・・・他の大手でもやっているだろうから・・・、あえて自転車屋にしがみつく意味はないからである。

夏休み泥棒市から宿題でっち上げ・・・



 先日なんか変に好評だった、子狸どもの夏休み泥棒市。虫ゴムの手仕事には、ちょっと手間代は出たが、その他のがらくたもの・・・、まあよく工房内から拾ってきたもんだてなものは、もちろん誰も買い手は付かない・・・、当たり前だ。

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 しかし拾ってきたものを改めてみると、なんか一つ一つに表情があることに気づかされる・・・。もちろんそれらを再生させて・・・というようなものではない、もうそれ以下のものだからね・・・、少なくとも店主の力量ではな。

 ただ、目的を持ってくつられてきたものが、とことん使い倒されて、その任を解かれ、その有機的流れから外されて、ポソッと置かれているのを見るに、なんか表情らしき気配を感じるのだ・・・。

 子供の頃店主も近くの廃墟からせっせとタイルを拾ってきては、幼稚園の服掛けのポケットに忍ばせていた。確かにあったのだ、それぞれの表情のようなもの、その目的はわからねど、自然物とはどこか違った、隠された意図のようなものの背後。

 今はわからないが、とりあえず取っておこう・・・。このなんとも漠然とした、露骨な実用とも有用とも付かないものどもへの関心というのか?確かに子供の頃には鋭い何かを持っていた。

 大人になりものや道具のそれぞれの意図を知り、少し不感症になってきているのか?子狸たちのこうした行動を見ていると、何か懐かしいだけではない、人と物との原点のようなものを感じて、そのことに店主自身が鈍くなっていることに多少の危機感を感じている、ともいえるかもしれない。

 いやいや、これには延長戦がありそうだぞ・・・。もし今後子狸が初恋なんかし始めたら・・・、それが男であろうと女であろうとだ、異性、同性含めた異なるもの、他者・・・への接近の原点を見る思いをこの店主はたぶん強くするだろう・・・。そう、予測しておこう。

 その頃店主は60手前かな?まあそれはいいとして、そうなると他者と向き合うことの本来の意味などをたぶん再考しだして、もしかして、どこかの誰かと駆け落ちなんてことをしでかさないか?と今から楽しみなのだ。

 何事も、ダラダラと惰性で続いているだけでは、本来の原点としての意味を失いがちになるんじゃないのか?ということは日常生活上つくづく感じることなのだ。特にこの頃。

 そこには祭りが欠かせない、ハレや危機、動乱や革命が必要なのだ。そういう意味での文化小革命ぐらいは日々起こせるときには起こしてもよいのでは?

 まあでも自分で起こす革命など大したことはあるまい。すべては巻き込まれなければ意味はない・・・。前意識ではダメなのだ、無意識に届くような動きでないと。

 とまあ、周りの鉄ゴミの意味など気づかせてくれる、子狸どもの動きはある意味大歓迎・・・。ただ、工房の使い方はそろそろちゃんと仕込まないとな、と思う、いろんな計画もあるから・・・。

 さて、このせっかくの泥棒市、いかにも当店らしい、当店の子狸らしい内容なんで、こいつをなんとかどうにか夏休みの自由研究なるものに生かせいないか?と店主は黙って考えていた。

 ところが、見事に親の心子知らずと、子狸らは本当奔放に、全く違う動きをしやがる。

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 何やってるんだ?相変わらず丸い頭して・・・。

 あれは、先日のキャンプで余った薪だろう?表面処理されていないから、結構トゲだらけだぜ・・・。

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 できた!というので見ると、なに作ったんだかわからない、聞いてみると、武器だそうだ。あの泥棒市は?と聞いても、今は武器製造に精を出しているという。

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 木の交点に、ビスをねじ込んでいる、工房の+ドライバーでやっていた。さすがに先端はとんがって危ないので、ベルトサンダーで削ってやった。ちょっと親父の威厳・・・。

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 その内、近所の武器仲間も合流して、物々しいねえ、外で武器製造・・・。

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 かなり厚い板に、デザイナーのお父さんに描いてもらった剣の形に糸鋸を当てる。荒削りは店主が電ノコでやってやる、近所の親父の威厳・・・。

 これ時間はかかるが完成したら、結構な自信作になるだろう。飽きなければ二週間の仕事かな?

 と、その廃材を使って、子狸はちゃっかり自作剣を作ってしまった。

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 端切れをビスでつないでのにわか作りだが、まあ形にはなった・・・。逆に見ると剣というより、墓に刺す十字架のようにも見えるが・・・。

 しかし、剣だの十字手裏剣だのと、適当なものを作って楽しそうに遊んでいられる・・・。その状況自身、店主は実は気に入っている。

 店主は自らゲーム機などをこいつらに渡すことはしないし、たぶん最初から一切その辺には関わらないと、奴らには言うと思う。

 買ってもやらないし、与えもしない。ダチコウと隠れてやるなら勝手だが、店主の目の前、店および家ではやるな、絶対に・・・は貫こうと思う。なぜなら、嫌いだからだ。あれは遊んでいるのではない、遊ばれているだけだ・・・。

 どんな粗末な木くずでもいい、それに自分で意味づけし、それに興奮し、恐れ、焦り、楽しむことができること、つまり自分で自分で作った物語で遊ぶことにこそ意味があるのであって、寄りかかって楽しませてくれ・・・の延長でいくら興奮しても、させられているのであって、しているのではない。

 そんなことは大人になってからいくらでもできる。適度の銭払えば、大抵のことはできてしまう。いやでもそうなるんだ、なら今のうちに、怖い話の後にトイレに行けなくなるくらい感受性が柔らかい内は、せいぜい、そいつを豊かに自ら遊べ!遊んでおけ!それがおまえらの今の特権なんだ、そしてそれが特権であったと気づいたときにはすでに遅い・・・。すべてが白けきっているんだな。

 妖怪もお化けもカッパも、すべていなくなっている・・・、せいぜいそれらの抜け殻で怖がったいるだけだ。抜け殻で商売している奴らがいるからな。

 ところで、その自作の武器だが、自由研究にするのか?

 それもいいなあ、という。うん、確かに・・・。

 でもあの泥棒市のがらくたはどうする?

 ・・・・。

ならよ、アイツをなんか展示して、名前書いて学校に持って行かないか?ゴミも片付くし・・・。

 と商談成立・・・?

 捨てる段ボールを取ってきて台紙にして、拾ってきたがらくたを種類に分けてタイラップに止めることをやり出す。

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 千枚通しで穴を開けて、タイラップは供出、一つ見本を見せてやった、後は自分でやれ・・・、とほったらかす。

 意外と面白かったみたいだな。しばらく黙ってやっていた。

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 時々様子を見煮行くと、作業は進んでいるようだ。・・・あれ?おまえそのクランク・・・?

 物置にあったよ・・・。ぬぬぬ?・・・テメー!勝手に持ち出すな!

 と一悶着ありながらも、今回はこちらが折れた。やはりクランクは絵として、存在感としてでかいからな、認めてやろう。

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 しかし日が短くなったもんだ。六時半を過ぎると、もう薄くらい、四月と同じくらいだから、仕方ないか・・・。大物はいいペースだったが、小物には手こずってはいるが、小さい手だからこその器用さも確実にあるね。

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 イイェーイ、完成!と一喜びなんだが・・・、あまりにも無愛想、これじゃあなんだかわからないなあ・・・。

 ということで、まとまりを作って、名前くらい書き込め、ということでパーツ名と用途をたたき込む。

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 正真正銘、これにて完成。発想はこちらが下地を作ったが、作業、手仕事は基本こいつ一人でやったんで、まあ褒めて使わす。

 あと、意外と重い・・・。ほとんど鉄パーツだから当たり前か。なら明日、夏休み明け一回だけは、持って行くの手伝ってやろうか・・・な?

 これで狸サイクルの宣伝にも少しはなるかな?イヤイヤ、もうすでに学校内では、有名とかいわれている・・・。しかし、怠ることなく営業、営業・・・。

 一昨年までは「こだぬきの夏休み」というシリーズだったが、今後は子狸の夏の工作・・・かな?マジで二年後には、パンク修理、お客さんのもできるように仕込むかな?かなり高い確率で、できる・・・と思う。正直手が足りていない、頼むぜ!

 

仏教の本場オランダにて



 昨年四月に、オランダに旅立った坊主。もちろん仏教の坊主なんであるが、なぜにオランダに?と思われる方は多いかと思う。

 チベット・・・、インド、スリランカなどであればまだわかるが、なんでオランダなのか?伝統的にはピューリタンの国じゃない・・・。

 その答えは、彼にとっては彼の地が仏教の本場だからなんだろうな。そもそも本場だの偽場だのは、本来意味はない。本者がいるかいないかの話である。


 彼は仏教学部を卒業して、お決まりの「修行」に行くわけだ。そうでないと職業坊主にはなれない。彼には継ぐべき寺がある、選択の余地なく「修行」に行かねばならない。

 そして行った・・・。まあ想像は付いたが、すさまじい状態だったそうだ。

 まず寄り集まっているのが、彼も人のことはいえないが、二世、三世の仕方なくもあととり坊主達が大半。半年間、いやな「修行」をくぐって、僧籍に箔をつけて、実家に戻って馬どもに念仏上げてればいい、という連中だったそうだ。

 そういう「修行」僧を前に、指導する、おシュケさんというのがまたひどい。まあ、まともな修行僧のまともな質問には答えない、いや答えられない、いやいや、もっといえば質問するなと来たという。

 彼曰く、ただ一人、自分に向き合ってくれた人がいた、ということだ、ただ一人。

 そんな辟易する「修行」時代に、一つの光明が差したことがあった。海外研修制度に選ばれた時だった。フランスとオランダに派遣されたということ。

 フランスは、まだどちらかというと「本場日本から来てくださった・・・」的な扱いがあったという。実際、日本の永平寺などにフランスから修行僧をつれて、その荘厳な演出を見せると腰抜かすというから、まだまだ本場のメッキははげていないんだろうという。

 驚いたのがオランダだった。まず、本場から?なんて日本から来た僧を迎えるなんて態度は一切なし。冒頭に「君の立派な袈裟はいったいいくらで購入したんだい?」と、日本では袈裟=位を金でやりとりしている、と見抜いていたから恐れ入ったものだ。

 皮肉から入ったオランダ派遣では、以後刺激の受けっぱなしだったらしい。どうも曹洞宗といっても、臨済の傾向強い僧が開いたらしく、いわゆる禅問答といわれる公案が非常に多いらしい。その辺もずいぶん刺激になったとか・・・。

 ある休みの前日、夜みんなでワインやチーズなどを取ってリラックスをして、多少打ち解けた印象を持てた翌日、休みの日とて、自分は座禅は欠かせまいと、早朝彼一人で起きて、禅堂に向かい、扉を開けて驚いた。

 すべてのオランダ人僧が、休みに関わりなく、すべて自主的に禅に向かっていたという・・・、その時の背筋がゾーッとしたという。

 それがきっかけか、オランダのその寺は彼にとっての、正真正銘の本山となった。

 帰国後、仮店舗時代だが、即当店に来てその報告を受けた。まあ、決まりだな・・・、そこが本当の修行場だとね。

 しかし、そう簡単にことは進まない。いろいろあって、最初の「修行」寺に戻り、それから数ヶ月過ごし、そこの寺からまた別寺に派遣されて、セミ坊主のようなことをしていた。

 そこで彼の持ち場の本堂から謎の出火が起きた、全焼。百年以上の荘厳な建物が一瞬にして灰になるなんて、すこぶる仏教的なんだが、まあそこで高位いろんな仏教的な体験をして、出奔。

 つまり出家からまた出家したということだ。なぜか当店に数ヶ月居候・・・。

 そこから実家に戻り、本格的なオランダ修行への画策を経て昨年四月、めでたくもオランダに旅立ったということだ。

 この一年以上の間に、メールが何本か来たが、道元の正法源蔵とデリダのデコントラクションのとの類似点など、そういえば昔市倉先生が取り組んでいたようなことを言い出すしまつ。

 さて、どう答えるか?といっても内容にすら手は届かず、概要中の紹介程度でお茶を濁しているような状態。哲理の面でも成長したなあ・・・と思っていたんだが。

 今回一年以上たって、オランダでの晴れの舞台の写真が送られてきた。

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 この右のお方が、たぶん今の老師である方なんだろう。

 ちょっと前には、このお方のお供で、スペインまで行ってきたらしい。カタロニアの独立騒動などで、国内は物々しかったらしいが、歴史を感じる重厚な建物、泰然とした人々、そして豊かな大地の食など、若い僧にはそれはそれは刺激的な体験だったらしい。

 宗教ビザというのか?三年は取得しているので、残りの二年、思う存分、彼の理想とする、いや仏教者が理想とする修行を受けることになるだろう。

 今後彼は、まさに覚者達の動きに影響のある動きをするだろう、それが日本であるか、どこであるかは本当のところわからない、実に楽しみである、それがたとえ一人であったとしても。これを誇りに思わないものがあろうか?

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 まあ、もちろんこういう面も全く忘れていない、しっかり落とすやつである。
 
 

清水の舞台から・・・



 来たなあ、と思いますね。オオ来たか!くらいに思いますね。

 こういう自転車と、こういう自転車を引いてくる方の顔つきで、大体何がやりたいかわかるようになる、なんか共通するものがありますね。
 
 一言で言うと清水の舞台から、飛び降りたような、またはもう一押しで飛び降りるような、そういう雰囲気がありますな。

 たぶん奥さんかな?女性と一緒に来られまして、その女性がちょっと前当店で施工依頼していただいて、その推しがあったようです、しっかり予算決めてやりなさいよ、アンタ・・・というくらいな感じ。

 ざっと上限決めて、優先順位の高いところから始めます。最近こういうやり方が多いですね。まず大体施工依頼を言った後、お客さんはいくらですか?と聞いてきます。

 まあ、当たり前ですね、一番気になるところであります。しかし、開けてみないとわからない、外してみないとわからない、そもそも外せるかどうかもわからない、そして何よりもやってみないとわからない・・・というのが、大体当店のお引き受けする施工内容なんで、すぐに値段などいえない・・・というのが現状なんですね。

 なので、まあ、大体このくらい・・・、そもそも予算の概算は?なんて話から段々決まってきた中で、優先順位の高いものから手をつけるというのがこの頃の傾向なんであります。

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 FUJIのフレームのようですね。クロモリなんで、一回り見て、継続使用可能と判断。駆動系などを中心にやっていこうか?ということに。

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 チェーン、ワイヤー、スプロケはまあ交換・・・との後ろのスポークがまたすごいね、ほぼ錆びている。うーん、どちらが優先順位か悩むなあ・・・。

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 ウワ・・・前輪のスポークまでがモロ錆び・・・状態だわな。となると、前後ホイールの方が先?かしら?

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 こいつは洗浄して・・・グリスなど入れたら、元に戻りそうだ。

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 まあ、こんな感じ。錆というより、油に埃というものだと、それ落としてやると、意外ときれいになるものだ。

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 やはりホイールは交換としよう。タイヤは流用、まだ暫くは使えそうだ。

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 リアも交換、前がボスフリーで今回がフリーの形式なんで、スプロケも交換、7速から8速になりました。

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 スポークは錆びていたものの、他に特に支障になるような錆はない。実に不思議な状態であります、どういう保管のされ方をしてたんでしょうかね?単なるスポークが鉄だっただけ?なのかな?

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 物理的な動きをよくする洗浄や注油などをしてやったら、後はワイヤーという名の神経を張って、細かい調整をしてやる。

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 こんな所にロゴがあった。しかし、再塗装すればもう新車同然・・・の動きはしますね。

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 何度も試乗したりしますが、薄暗くなって、駆動や制動に集中して走ると、まあほとんど新車と同じ・・・、いや新車のような堅さがない分、なんともいえない乗り心地なんですね。

 それが、あの古女房だったとすると、それなりの思いを込めて乗り続けている人、ちょっと今まで邪険に扱いすぎて罪悪感を持っていた人などは、まあゴメンネーの気持ちも込めて、最高な一台なんじゃないかな?と思いますね。

 清水の舞台から飛び降りる・・・、そのこと自体は大切だが、その後どう着地してどう動くか?なんてとこまでなかなか関心は行かないものだが・・・、たぶんこの車体は飛び降りた以上の衝撃をもって、迎えられるんじゃないか?と思われますな。

ロングニップル宣言!



 当店の推しているいつくかの内、かなり強めの推しなのが、この手の手組ホイールなわけです。理由はまあ、いろいろありますが、一言で言えば、愚直で管理がしやすいということでしょうか。

 すべてが専用で設計されたものが最高の状態で組み上がっている完組ホイールに喧嘩を売っているわけではありません。あれはあれですから・・・。
 
 ただ最高ではない完組どもには、多少売ってもいいかもと思える展開はありますよ。ただリムは年々少なくなってはいますが・・・。

 そんなこんなで、アチコチより信用いただいて、組み付けるホイールには、それなりの研鑽と気合い、気持ちのたぐいもこもっているわけなんであります。

 そうした中で出荷していった、このホイール。

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 TNIハブ、こいつはホール数に種類があるので、当店のような手組派の店にとっては、非常にありがたい選択肢なんであります、黒しかありませんが・・・ね。

 これは24ホールのハブ。フリー側を四本取りにして、

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 反フリー側を軽量もかねて、ラジアルにしてもよかったんだが・・・、今回は二本取りというあやとりにしてくみ上げた。

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 かれこれ一年くらいなるのか?ニップルがいくつか飛んだという知らせが入ったため、急遽点検して、より強度を上げたものとして組み直すことにした。

 使ったのは、ロングニップルというもの。

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 こうして比べてみると、歴然とした違いがある。今までは、スポークで長さの足りないものにこいつで補うように使っていたというのがほとんどであったが、今回は初めて強度を意識して組み直すことになる。

 どのくらいの違いが出るのだろうね、それぞれ計ってみましょうか?

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 通常のニップルは、長さ約12ミリ。

 それに対して、ロングニップルは・・・。

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 16ミリ、なんと4ミリの差があることになる。ただこれは外見の長さの話にすぎない。しかし、今回重要なのは強度を出すということなが前提なので、外見の長さだけではわからない。

 そこで中身、ニップルなので、スポークに対してはナットとして働くこととなるので、ねじ山の長さを見るとどうか?というところで確かめてみたい。

 少し長めにねじ山を切った、スポークで計ってみると。

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 通常のニップル、長さ12ミリのものは、その下から5ミリ内側に入って、ナットとしてのねじ山が始まっていることがわかった。ということは、通常ニップルがスポークを最長で捉えられるのが、7ミリということがわかる。

 一方ロングニップルは・・・、

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 通常のニップルが5ミリだったのに比べると、6ミリの所からねじ山が始まっているので、ねじ山自体の長さは、10ミリということになる。ということは、ロングニップルの方が、3ミリ多くスポークのねじ山を捉えているということがわかる。

 ただし、これも厳密にスポークの長さを決めないといけない。いくらロングニップルを使おうと、土台の短いスポークであったなら、強度としてのロングニップルの意味はない・・・。あくまでも10ミリのねじ山すべて使って強度が出る訳なのでね。

 何を今更・・・と思われるかもしれないが、かつて把握していたと思っていた数値にちょっとずれなどがあったため、今回再計測してみたが、改めてやってよかった。

 この3ミリの長さを強度に生かすために、時にねじ山延長切りを下仕事でやったり、十分な長さのあるスポーク、つまりニップルのてっぺんにまでスポークがしっかり入り込んでいる状態にするために計算方法を変えるなりして、強度アップの方向に持って行かないといけませんね。

 もちろんすべてのホイールにそうするつもりはありませんが、今後は24ホール以下のホイールについては、ほぼすべてロングニップルで強度を上げていくやり方に変更することをここに宣言することにいたしましょう!

 あとは、ラジアル系の組み方・・・もホール数に関係なくそうしましょうかね・・・。さて、ロングニップルの在庫確保しなきゃ!

セミインテグラルがまっとうだと思うが・・・



 ヘッドパーツの交換依頼が舞い込んできた。アヘッド系ね・・・。ヘッドチューブを見ると・・・明らかにインテグラルヘッドとなっている。

 一インチ時代のヘッドパーツは、フレームのヘッドチューブに上下にワンを打ち込んで、その中にベアリングを仕込んで、ねじで調整しながら締め込んでいく、という構造をしていたんだが、

 ここ十五年くらいか?ヘッドチューブ内に直にベアリングを仕込む形式に変わっていたんだな、それをインテグラルヘッドと言います。
  
 これが出たとき、ということはフレーム内部のベアリングの座りを決めるの工具が多数必要になる・・・、ショップとしてはやばい展開だなあ、と思ったが、その勘は半分あたり、半分はずれた。

 実際に、径の違いや、台座の角度の違いなどで、複数の修正工具が、しかも一つ一つが高額なものとして世に出てはいる。しかし、今までその手の工具の必要性を感じられたのは、ほんの複数度、二回か三回くらいか?

そして、当店ではインテグラル用のその手の修正工具は一切所有していないが、なんとか営業ができている・・・。

 ワンがいらなくなった分軽量化・・・できるかな?ただ、すでに軽量化は先端では済んでいるんで、インテグラルのメリットというのが今一わからないというのが正直なところ。

 むしろデメリットの方がでかいいんじゃないか?と思うんだな。ワンでもって回転系のベアリングを捉えるのと、ヘッド中部の内部直にベアリングを捉えるのとでは、何かあったときの対処の仕方が変わってきすぎるわけだ。

 仮にワンに傷が付いて、ステアリングがしにくくなった場合、前者はワンごと交換すれば、それで話は済む。

 ところが、後者だとヘッドチューブというフレームの一部に傷が付くとなると、最悪な展開によっては、フレーム交換しなくてはならなくなる。たかが、ヘッドパーツ交換で済むことが、インテグラルだとフレーム交換にまで行きかねない・・・というのは、ちょっと承服できない、というのが店主の思いなんであります。

 アルミフレームならまだいい。最近ではカーボンフレームのヘッド内にカーボンのヘッドチューブを直に削ってそこに金属ベアリングの台座を作っているんですね。いくらカーボンが固いからといっても、常にこすりつけられ、ブレーキのたびに力のかかる素材が金属だぜ、カーボンで大丈夫かよ・・・と思ってしまう。

 この夏に、新潟に行った際、紙の博物館なんてバブルの後始末のような展示に寄ったんだが・・・。草などの繊維を糊で固める・・・というのが紙だとすれば、カーボンを繊維状にして、それを樹脂で固めるなんて発想は、実は古来からのもんだよねと思ったんだが・・・。

 所詮カーボンの堅さなんて、樹脂に依存するんじゃネ?繰り返すが相手はちょっとはおとなしいがシールドベアリングだとしても、金属ですからね、ガタなどを気づかずに、長きにわたって乗っていると、ヘッドチューブ内は傷だらけになるんじゃないか?なんて思うのは、老婆心なのだろうか?

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 フォークを外して、中を点検・・・するとこいつ・・・、

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 内側にワンを圧入されていたではないか・・・。ということは・・・、これを称して、セミインテグラルというのだそうだ。

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 このように、ヘッド中部の内部に、金属のワンをまずは圧入する。

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 その中にベアリングを仕込んで、コラムをさしてアンカーで引き上げる・・・という形式を取るんですね。

 なので、金属のワンに直にボールベアリングが滑るので、仮に経年により、ワン自身に傷が付いて、ガタやステアリングにゴリゴリ感が取れなくなったとしても、ヘッドパーツ一式を交換すれば済むわけで、フレームには一切損傷を与えない、というある意味普通なんだが、優れた構造となっているんでありますね。

 店主は推しますねえ・・・、セミインテグラル。特に軽量戦争から外れたカーボンフレームには是非復活を・・・と思う次第なんだんがな。自転車を供給される選手はいいが、自腹だとこういう配慮は必要だと思うが・・・。

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 ということで、この車体はラッキーにもセミインテグラルなので、早くも絶滅種に近いセミインテグラルヘッドを入手して取り付けることになります。

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 ワンの内部に圧入。フォークの玉押し外しの、新玉押しの圧入など、毎回思うが、ヘッドパーツなんてちっこいパーツにいったいいくつの工具が必要なのだ?と思うわね。

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 取り付け完了。何度もストップアンドゴーを繰り返し、ガタの有無の確認。ステアリングもなめらかになりました。

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 確かに過渡期のアルミフレームのように見えますね、なので過渡期にされてしまったヘッドパーツが付いているのか?と思いますが、イエイエ、発想はこちらの方が正しいわけで、是非この手の復活を望みますねえ・・・。

 乗り捨てじゃなくて、長く乗り続けてもらう・・・という発想も必要ですよ。そうでないと、メーカーさん自身も流行をリードするだけで、それが時を経て、レトロとなり、時代を象徴するような車体になる・・・とか、そんな視点で物作りを考えなくなるんじゃない?なんてね。

 もう効率だけで作っていたら、いかに味気ないか?そういう所にも気が行かないとね、と思う時代が来たんじゃないか?

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 夏の典型のような入道雲が時間を経るごとに変形してこんなになっていった。内部では膨大な放電が繰り返されていたためか、何度も稲妻が走っていたね、一瞬ドカッと光る様子は、まるで行灯のような風情だった。

 かつては考えられないくらい、夏好きの店主であったが、そろそろ秋よ来てくれないか?と願望から、懇願に近い心情になってきたわな。

履き替え 入れ替わり

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 先日紹介した、キャノンデールレフティーの20インチバージョンです。

 こいつは、すぐ近所で新築中の大工さんからの依頼でやってきたものだ。

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 徒歩二十秒。前は一軒家が建っていたが、それを取り壊し、同じ敷地に、まあよく建つなあ・・・という三軒が建とうとしている。その一番手前の担当をしている大工さん。

 しかし、ここに三軒建つということは約三家族が、ここに住み着くということになるだろうね。どんな人が来るのかな?

 ちなみに、当店の隣の家なんだが、最近ど派手に解体されてしまった・・・。

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 ここですね、なるほど・・・と気づく方も多いかと思いますが。もう少し近づくと・・・。

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 完全に更地・・・。こんなに広かったの?というね、子供の手打ち野球にだって使えるくらいの広さ。ここに何が建つか?というと・・・

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 ボードには、長屋とある・・・。熊さん八っつぁんでも住みつくとでもいうのかね?

 建築の詳しい人に聞いてみると、アパートだと、この場合二階は二階の入り口を作らないといけなくなるので、その辺に場所が取られて、めいっぱい部屋を広く作ることができなくなるそうで、同じ一階に入り口を作って、半分は玄関開けたら、即階段で二階行きになる形式のことらしい。

 しかし16世帯入るというんだから、これは賑やかになるね・・・。自販の井戸も設置したし・・・、かゆいところに手の届く実用車なんぞ何台か用意しておくかな・・・。しかし、そんなことより、どんな人たちが来るんだろうね・・・。

 また出会いの一つや二つ、起こるのかしら?

 それとも当店寄りの方々が、移り住んでくるのもいいなあ・・・。まあどんな家かわからないがね・・・。

 とにかく、ちょっと楽しみな展開になりそうな予感なのである。

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 今回のご依頼いただいたのが、タイヤ交換だった。それまで付いていた、スリックタイヤがカーカスが見てていたんで、交換なんだができる限り太いやつで、ブロック系がいいというので、こんなやつになった。

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 前後車輪とも交換という、ちょいと現場が移っただけの短い期間に、ハンドル交換からタイヤ前後入れ替えまで、いろんなお仕事いただきましたね。これもご縁というやつでしょうな。

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 タイヤにはBMXレースなんて書いてあるがどこまで本当なんだろうね・・・。でも何よりもこの太さに感激されていたようだった。

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 ハンドル交換の時にちょっと短くなった左ブレーキのワイヤーを少し長くした。短いとハンドル切る際に、多少の不便があるということでね。

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 こんな感じで、完成。

 この建物は、この週の半ばで大工仕事は終わるという、また別の現場に行くことになるんでしょうな。短い間でしたが、ありがとうございました。

 またご縁が続くようでしたら、よろしくどーぞ。お互いけがなく、やって参りましょう!

 

守る神

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 またそのペール缶がいっぱいになった頃、来るよ。と、当店から出る金属系のリサイクル品を持って行ってくれた。

 三年前引っ越ししたてで、まだ右も左もわからないこの西東京で、最初に声を掛けてくれた業者さんだったかもしれない。

 いやね、あんたが来る前の設備屋さんか、そこがお得意さんだったのよ。それが移動しちゃってね、でも癖のある建物だから、また他の業者さんが来ると思ってきたんだけどね・・・、お宅は何だ?自転車屋か?

 そう・・・ですね、まあ、自転車屋です。

 この辺回っているんで、なんか出たら連絡してきてよ。

 渡りに船とはこのことだ。自転車屋をやっていれば、金属系のゴミ類はどうしても出る。杉並時代には近所に足立さんという業者さんがいて、そこに持って行くのが常だったが、この辺でそんなところはあるのか?仕事が始まると、すぐに金属系のものは出る、この行き場を確保しないと、また大変だ・・・・と思っていた矢先だったのだ。

 通る人もうらやむくらいの大量のペール缶を置いていく。そこに二、三ヶ月ぐらいか?してたまった頃に、ペール缶の交換に来る。

 軽トラにあがって、こちらが差し出すペール缶を受け取っては、自分なりの決めた位置に持って行く、アルミものは特に大事に、専用の場所に置く。アルミと分ける磁石も持参。

 一通り終わると、最初の頃は立ち話だったかな?しばらく話していたっけね。

 その内、肺の調子があまりよくないから、座っていいかい?と、いすに腰掛けては、またいろんな話をしてくれた。

 長い間少年野球の審判員をやっていた、なんて話は面白かった。どうりで・・・、普通のじっちゃんじゃないと思っていたんだ。時に目が鋭い、こもってはいるが腹から出る声、こういうものは一朝一夕で形成されるものではない。

 アッシャね、95年に選手を集めてこう言ったんですよ。これから私の裁く試合では、ホームプレートの左右、ボール一個分までストライクゾーンとしてカウントするからね、といったんだな。

 というのはさ、当時野茂がメジャーリーグに行ったでしょ?日本の多くがこぞってメジャーの試合を見たわけだ。そして、あまりの違いに結構驚いたことあったじゃない。その一つに向こうのストライクゾーンの広さだよ、エエ、あんな外の玉取るのか?と思ったよ。

 でもね、日本人とは体のでかさが違う、腕や足の長さが違う、だから次第にそうなっていったんだろうと思ったんだが。いや、最初は驚いたよ。

 そこで私は思ったんだ、これからの主流はどうしてもメジャーリーグが基準になっていくだろう。実際ストライクボールのカウントも、今メジャー流にボールを先に言うだろう?どうせそうなるだろうと思っていたんだ、だから、いち早く、広いストライクゾーンに子供の頃から慣れさせていくために、アッシャね、子供達の前でそう宣言したんですよ。

 普段は仕事着、ぼろぼろの前掛けに、つばの曲がった帽子をかぶっていた旦那だったが、その話を聞きながら、あの、つばの小さめの審判特有の帽子、紺のズボンに、厚手の薄いブルーのシャツ、ポケットにカウンターを入れて、面をかぶって、プロテクターであごの下を隠してから、しっかりかがんで「プレイ!」と太く短い声が発せられる様を想像した。

 やはりただ者ではなかった・・・。

 店主が、かつて専門学校に勤めていたとき、なんと部活の担当が野球部になってしまった・・・。最初は面倒で仕方なかったが、いろんな学校の先生と知り合えるというのは、今思えば非常に貴重な経験だった。

 特に服部調理の先生には食いついて、いろんな技のコツなどを聞き出していた・・・。

 夏の大会は二百校の参加で、ちょっとしたものだった。決勝戦は東京ドームまで借り込む気合いの入れよう。ただ、最初の消化させる試合は過酷だった。あらゆる河川敷を借り切って、一時間半の中で7イニングを消化させるのは大変だった。

 審判団も独立した形で頼んでいた。消化していく試合には、一試合に審判は二人しか付かない。主審と塁審のみ、ゲームが動いて、ランナーが複数走る際には、サッカーの審判のごとくに、学生と一緒に走っては、アウト!セーフ!と大変だ。

 それも炎天下で・・・。年も高齢な方々もいたなあ。

 店主らは役員として、試合に張り付くが、事務的な判断だけでなく、弁当と飲料の管理や、グランド整備のような肉体労働などもこなす、まあ泥だらけで大変なんだが、いい思い出にもなったな。

 最初の内へたくそだったグランド整備も、審判団やベテランの先生から習いつつ、かなり一端になっていく。忘れもしない光景があった。

 このマウンドは変形がすごいなあ・・・といっては、自分の車に戻ってスコップを持ってきたN本さん。まさかマイスコップかよ・・・とそれだけでも驚いたんだが・・・。せっせと泥を移動して再成形して、こちらも水まきなどを手伝って、段々きれいなマウンドに仕上がっていく。

 さすが、うまいなあ・・と思って見ていると。一通りできあがったマウンド周り、その前後を最後踏み固めては、満足そうに一瞥すると、ピッチャーのプレートにこびりついていた、ぬれた泥を何の躊躇もすることなく、素手でするっとぬぐったのだった。下から真っ白なプレートが炎天の光を反射し、一瞬蛍光灯のように光る。

 彼は、よし!とうなずいて、マウンドから降りて、今度は主審の装備を身につけ試合に臨んでいったのだった・・・。

 一定の大人になれば、手が汚れる、ぬれた泥をぬぐう動作に躊躇しないものはほぼいないだろう。それなのに、彼は全く躊躇することなしに、それをやってののけたのである。

 95年頃、野茂のメジャーリーグデビューで、世の中はわき上がっていた頃だったが・・・、いやいや、こういうN本さんの、聖人のような人が、実は野球というものの根幹を静かに支えているんだ・・・という瞬間を目撃したわけだ。

 紛れもなくこのじっちゃんも、少年野球を毅然と信念を持って裁いてきた、野球の守り神の一人だったんだろう、と思う。そして、当店の守り神でもあった。

 かつてはボイラーの技師だった話、若い頃は人一倍の力持ちだったこと、興味深い話は底を尽きなかった。

 これからはせがれ達が中心でやっていく、と弱った肺をかばうように、軽トラを運転して行かれたのが、最後だった。

 弔意のお返しに、いただきました。

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 当店関連の方々と、謹んで献杯させていただきます。

 合掌

レース前点検 チェーン洗浄など・・・



 当店にもたまーに来るタイプの車種ですね。鉄のこいつらだと相当緊張しますが、カーボンだと、そうかなるほど来たのね・・・という程度かな。

 鉄のネオプリなどはスレッド化などをご所望されたりすると、基本お断りなんだが、それでもなお!と強く出られても、まあ、大抵はお断りなんだが・・・、さらにさらにそれでもなお!念書を書きますから・・・とか言われて、まあ渋々やるなんて展開、たまたまあったんですがね。

 それから比べれば、何のその。レース前点検、ちょっとした洗浄とメンテと言うことなんだな。

 レース前に、点検していますか?さらに言うと点検に出してますか?それぞれの力量があると思うので、プロ級からセミプロ級、そこまでやるか!級などね、いろいろあると思いますんで、それに合わせて、それ以上の点検が必要と言うときなどはお持ち込みください。

 たとえば・・・、レース前にチューブ変えたり、タイヤ変えたりするでしょ?若干ながらホイールバランス崩れていますぜ・・・。そんなのを微妙に直すことだって、意外と大切よ。ちょっとした違和感でも、我慢してはいけません・・・。とにかくレースはあらゆる意味で消耗するので、ほんのちょっとしたことでも改善できるところはしておいた方がいい、と思います。

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 どうもトライアスロン系のレースらしいですね。オリンピックディスタンス、このバーを見ると、ドラフティング禁止のちょっとかわった形式かもしれませんね。

 というのも、このDHバーを握って、混戦で走るのは危ない。ブレーキかけられないし、とっさの動きに反応できないんでね。周回コースによっては、ばらけ具合で、車間距離が短くなったりすると、また危ない・・・。ちょっと終わった後、どんな状態だったか聞いておきたいですね。

 それによって、DHバーの形状も変えていいかもしれませんしね。

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 ちょいと駆動の要なんかをメンテしてみましょうか。すでにスプロケ洗浄完成。そうした次はチェーンでしょう。

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 チェーンを切って、灯油洗浄しましょう。最初は真っ黒になりますね・・・。これを何度も繰り返す。

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 灯油自身がこのように澄んできれいになるまでやる、またはチェーンを引っ張り、弓状になる方向に左右にもむんで見る、その際に、ちょっとしたきしみがあるようだったら、再度洗浄する。ここまできれいになるとそのきしみは大方取れてはいるがね。

 そして再度つなげるときには・・・、

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 こいつを使いましょう。これだと頻繁に洗浄がしやすくなる。チェーンの洗浄は思っている以上に、駆動の効率を上げてくれている。こいつにいいオイルをさすか、ささないかによって、ギア一枚は違う・・・といったレーサーがいた。

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 この手の工具で着脱は簡単だ。

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 これは名オイルの一つ。このウェット系のムオンと、ドライ系のケイテンは走る人なら一本ずつは持っていて、いいものだ。

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 チェーン、スプロケの洗浄と注油が終わってから、シフトの点検をしていく。

 若干のエンド台座の変形、これを修正し、ワイヤーの調整をやってみた。テンションボルトを絞って、インデックス調整もほんの少し・・・。

 それだけでも違ってくるね。ロードレース的なめまぐるしい展開はないとは思うが、それに備えるくらいの精度でチェーンの動きを調整しておく。

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 スプロケは少し放っておくとすぐ汚れるから、洗浄の癖はつけておいた方がいい。最低でもディグリーザー一本使い切る位の勢いで洗いましょう。

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 一コマ一コマに、しっかりムオンをしみこません、少し時間を掛けてから余分を拭き取ると、チェーンの各コロが機嫌良く回ってくれるようになり、その連動が選手の力を後輪に伝えて、自転車の推進力へとなる。

 そう考えるとチェーンのなめらかさがいかに大事かが、わかるだろう。

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 ディレーラー類も、調整の最中は酷使されるようにドタバタ、グチャグチャに動かされる、そのたびに可動部にいいオイルがしみこまさせる。機嫌がみるみるよくなってくる感じがするね。

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 この早々に消えそうな、長手もワイヤー調整がシビアだが・・・、ここにも可動部にはオイルを入れることで、各パーツが少しずつ覚醒してくる感じがわかる。

 その覚醒が、次の覚醒へとつながり、しまいに自転車全体の覚醒へと発展していく。自転車にエンジンはないが、、あたかも車体全体がエンジンが暖まってきたかのごとくに、戦闘準備に入っていく。
 
 ちょっと面白い仕事かもしれないね。

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 この辺のガタもしっかり取っておく。インテグラルでガタを放っておくと、最悪フレーム交換しないといけなくなるよ・・・。ある意味不条理な作りをしているよね・・・。

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 バランスからいうと、このブレーキはきかない・・・。レースに使うのであれば、最新105に交換することをお勧めしますがね。

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 木更津の方だったか・・・、風の強いところでのレースだそうだ。DHバーは浅めに持った方がいいかもしれないな。熱中症なども心配だが、出るからには何かをつかみ取ってきてほしい・・・と思う!

 頑張れ、フルタイムワーカー!

鉄フレーム これぞ乗る点滴・・・



 こいつはまた、自転車長者の常連さんのものでございます。この方は、フレームだと、変なパーツだのを見つけてきては、構想を練りつつ、用途に合わせた自転車を考えることのできる特異な才能を持っています。

 このアルミチネリのレーサーも、それなりの構想に基づいて、組まれたものかと思います。

 それがこちらに入ってきた・・・、また新たな構想なのかしら?と思って話を聞いていると・・・。

 なんと、この夏の酷暑で、熱中症にかかったというんですねえ。しかも室内で・・・。

 淡々と状況を話す中で、一歩間違えれば・・・そのアパートは事故物件になっていたかもしれない・・・という展開だったそうなんです。

 なんとか自力で救急車に連絡が付いて、救出してもらったからよかったものの・・・、ギリギリの状態だったようなんです。

 点滴して退院したはいいが・・・、臓器全体が機能低下を起こし、なにも喉に通らない状況が続く。これはまずいと思いつつも、なにも食べられない・・・。

 この窮地を救ったのが、なんと甘酒・・・ということだったそうです。確かに、甘酒は夏の季語といわれるくらい、江戸時代は真夏に甘酒が売りに来られたと言います。

 エエ?なんで?あれって温めて冬飲むものでしょ?と思いきや、その本領を発揮するのはなんと真夏であったと言うことなんです。

 甘酒、別名飲む点滴といわれるほどのものらしいです。彼の詰まった喉を通って、体に染み渡ったのが唯一甘酒だったと言うことで、それからほとんど一週間ほど、甘酒が彼の命を救ったといってもいい程の働きがあった、ということなんですね。

 鬼太郎じゃないが、甘酒は妖怪の養分という面もあるといことで、彼は熱中症から一時妖怪になって、この世に戻ってきたといってもいい、というくらい・・・ですね。

 さて、ボチボチ体も戻り、通常の固形物が食えるようになって、九万出してエアコンも新調したはいいが・・・、まだまだ体力が戻るには時間がかかりそうだ・・・と。

 見るにチネリのアルミフレーム、レーサーです。いいパーツも載せこんではいるが・・・、どうも自分の体の力からして、こいつには当分今の自分には合わないだろう・・・という思いが浮かんだらしいです。

 といって、このまま捨て置くこともできず・・・、なんとかならないか?というとき、日頃の構想力が功を奏したようですね・・・。

 そうだ、なら無理のないフレームに載せ替えちゃえ・・・。こんな発想が持てるだけで、半分は回復したようなもんだ。

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 アルテグラなんて、結構いいコンポなんか載せてんだよね。まあごちゃ混ぜ感は大ありなんだが・・・。

 こいつを何に移植するか?といえば、まあアルミをアルミに移植するわけはない・・・。まさかアルミをカーボンにもない・・・、そう一定の年齢には、思いつくのはあれだ・・・。

 鉄しかないだろう・・・。

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 この辺などは・・・、
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 このように・・・、鉄フレームに載せ替えていく・・・。このフレームの色でわかりますよね・・・。

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 そうビアンキの鉄フレームに載せ替えることを思いついたんであります。

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 クランクもこのように載せ替えたんですが・・・、チェーンリンク・・・。
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 純正アルテグラものではない一回り小さいリンクに交換・・・、この段差がなんとも非純正感で逆によい・・・。

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 手元変速のシフターなんだが、ここだけは変に凝っている・・・。

 通常の載せ替えじゃない・・・。

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 こうだ!・・・なぬ?

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 左だけがエアロブレーキだと・・・。ということはシングル?いや、先の赤リングのクランクにはその下に二枚付いていた、つまりトリプルだった・・・よね。

 ということは?・・・シフターは?

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 ダブルレバー一本が残っている・・・。これ、アームストロングモデル・・・とほぼ同じにしているということね。

 当時は山岳ステージの際には、フロントディレーラーはそう頻繁に動かさないと言うことで、STIやエルゴは重いということで、片側Wレバーは残し、左はブレーキレバーオンリーにして、軽量化を図るなんてことをやっていたんだな。

 その際カンパはセンスよく、左右のエルゴの形に合わせたエアロブレーキを作ったんだが、シマノはこのようなアンバランスな、エアロブレーキとの組み合わせにならざるを得なかった。

 それはシマノのSTIと、カンパエルゴの構造上の違いから来るもので、どうしようもなかったわけだ。

 それが時がたって、自転車の軽量化戦争はとっくに終わってしまっていた。フルで取り付けて、分銅でも置かないと競技規定の6.8キロを割ってしまうという事態にまでなって・・・この片チンバ形式は姿を消してしまっていったのであった。

 その踏襲か・・・この人、転んでもただで起きないねえ・・・やはり。

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 まあ、その他載せられるものはすべて載せて・・・。

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 流用できるものはすべて流用した。

 そして組み上がったのがこいつ。

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 何の変哲もない鉄レーサーにしか見えないだろうが・・・、アルミの殺気だったレーサーとは全く乗り心地が違う。

 とにかく、まあいつまでも乗っていたくなるような・・・、身体と相互的な乗り味なのだ・・・。

 これを称して、乗る点滴・・・といいましょうかね鉄フレームのことですが・・・。

 後は、こいつでもって、もう少し陽気が涼しくなってから、回復ライドに勤しんでもらいたい、と思いますね。

 
 しかし、熱中症は危ない、なにも炎天下で起きるとは限らない、室内で、弱いクーラーの中でも起きるということ、そして、ひとたび起ききってしまった後は・・・この世にいない可能性があるということ。

 これから年を追うごとに、超高齢社会になっていく、この流れは押しとどめることはできない。なれば、一人暮らしを中心に、警備会社、消防等がタイアップしての、総合的なセキュリティー確保のシステムが必要になっていくんでありましょう。

 ボタン一つ押すだけで、救急車が来るというような・・・ね。

 そして、自転車はというと・・・、健康維持、防病のための一つの装置として、より社会に食い込んでいく・・・、そのために高齢者用のポジションなどの開発も・・・、なんてことがもうすぐそこに来つつある。まさに自転車は乗る点滴になり得るのである!!

レフティー ハンドル交換



 ご近所で、新築が三棟建っている。その前までは、その敷地に一軒が建っていたんだが、それが取り壊され、三軒建つことに。

 こういう形式の新築は多い。いい佇まいの家が、壊されたかと思うと、ウサギ小屋のような家が数軒建つ。しかも四千万・・・とかの値段でね・・・。しかも不思議なことにそんな小屋が売れている・・・。

 この後四十年したあと、この手の家達はそれなりの歴史の形式が折り込まれた懐かしい家となっているのだろうか?

 ちょうど、安価で売られている今の自転車が、五十年後運良く、乗り継がれていたら、それなりのレトロになっているのだろうか?という問いと同じであろう。

 家、建物がその街の、その時代の顔なのと同じように、自転車だって、多少は時代や街の顔を担っている・・・。そうしたものに応えられる様式をどこまで意識しながら、与えることができるのか?

 たまにはこんなことを考えながらの、仕事も重要かと思う。

 時代の流れ、時代の流れなんだから仕方が無い、とプレカットの材木をプラモデルのように組み立てて、あとはカセット状の素材をしたから重ねて、内装やって、ハイ完成・・・。時代だ、生活だ、おまんまだ・・・でかまけすぎていると・・・、街や時代の顔はどうなるのか?それにどうコミットしているのか?という事さえ言えなくなるだろうな・・・、そんな仕事でいいのか?

 気づいた人から、気づいた時から、少しずつずらす・・・それしかあるまい。

 そんな、建築現場に、こんな小径ながらキャノンデールのレフティーが立てかけられていたんだから、それは印象に残るよね。

 昼間の光のコントラストで、かなり暗くなったが、これでも後処理で少しは明るくしたんだが・・・。この前輪を見て、あれ?と思うだろうな。

 通常前のホイールは、フォークによって、両サイドから支えられているが、こいつは左からのみという、だからレフティーというんだが、一軒不安定で怖いが、これがこういう車体なのだ。

 聞いてみると、埼玉の自宅から、この車体を持ってきて、その新築を作っているんだが、休み時間などこのレフティーで近所を回るということらしい。

 いいね、そういう使い方も。現場に入って、自販機の位置と食品購入の場しか知らないなんてもったいない。多少でも、自転車を足として、その現場を回れば、少しはその街の顔なんかにも気づくんじゃないか?と思うな。

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 これが持ってこられたのは、理由がある。フラットハンドルなんだが・・・、奥さんと共用・・・むしろ奥さん専用に近くしたいらしいんだが、どうもフラットバー的な前傾姿勢がいやらしいんですね、奥さんが・・・。

 ハンドルをもう少し手前に・・・という事で、形状を変えるという提案をいたしましたが・・・。

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 今風のハンドル、ステムなもんでなんと太さが・・・31.8ミリもある。レース車体じゃないのに、こんなの必要ないのにね・・・。このステムを使い続けるなら、シム・・・が必要だ・・・、探してみたら、あった。

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 車体が車体だけに、ママチャリの鉄ハンドルを付けるには忍びない・・・。なので、ビームのセミプロムナード?が見つかった時はホッとした。

 是なら黒だし、スポーツ系ということで、見た目も統一が取れている。

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 わかりにくいだろうが、26.0の径を31.8にするシムが前後で二枚合ったので、それを取り付けたんだが、わからないでしょ?

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 とりあえず、試しということで仮組したつもりだったため、ブレーキ、シフター、グリップはそのまま移植。なので、若干だが、ブレーキワイヤーはもうちょっと長くした方がいいだろうという所。

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 急ハンドルを切るようなことをしなければ、全く問題は無い。大体この手の自転車は腰で乗るので、ハンドルを切って曲がるものではないので、まずはこのままで・・・。

 そして、仮納車したつもりが、奥さんに大受け・・・。そんなに喜ばなくたって・・・というほど・・・。よほど乗りにくかったんでしょうな。

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 確かに見た目もフェミニンに、おしとやかになったようで・・・、しかもママチャリとのキメラでなく、あくまでもスポーツ車として大人しくなった感じが喜ばれたようなのであります。

 その納車の際に・・・、タイヤもちょっとブロックの入った、BMX風なんてできませんか?というご相談。

 来週家は完成するという、それまでに発注して、前後交換と行きましょうか?

 ケケッと思う家だって、血の通った人たちが作っている・・・、これは忘れてはいけないことだろう。逆にだから、色々と悩むのだ。機械が機械のために機械的な家を作っているのなら、誰もなんとも思わない。

 血の通った人間が、とある制度の原則に則って、あたかもそれ以外の選択肢がないかのように、効率よく作らされ、その分浮いた隙間にのっけられて、それを35年ローンなんて制度で、他に選択肢がないかのように、血の通った人間が購入させられるというこの状況・・・なんだよね。

 別にそれでいいというのであればいいんだが・・・。他の選択肢を知ったら・・・多分、そうはいかないんじゃないか?なんて思わなくもない。

 なぜなら、その理由は一言、つまらないからだ。

 多少の利のズレや差はあれど、みんな、仕方ない、そういう時代だからしょうがないのだ、とどこか我慢しているんじゃないのか?それは欲を言ったら切りないよ・・・でもね・・・なんて大人が追認しているだけなんじゃないか?

 他にあるだろう?でもそんなことに時間を使ってはいられない・・・。かくして時代の顔、街の顔はどうなる?

 レトロやビンテージがなくなるような、そんな時代を生きている、それだけでいいのか?と。

 確かに精巧だが、本能の図式に乗っ取ってばかり住まいを作っていると、それは蜂が巣を作っているのと同じ事になってしまう。所詮、巣を作っているんですよ・・・なんてことにならないように。

 そして、こちらも仕方ない自転車ばかり組まないように・・・、精進せねばね。

ほぼ失敗ブレーキ・・・なんだろうなあ・・・



 見るからにでもあるが、この手の自転車は、重い。まず電動であるということ。ホイールベースが長い分、フレームの鉄の部分が多くなる。そして三人乗りということで頑丈に作られている・・・、当然パイプも肉厚だろうなあ・・・。

 もちろん重いからすべて悪いということはない。自立させている自転車の上で、多少子供がむずがっても、重いとその分倒れにくい、という利点はある。

 重い自転車に預けられるという利点・・・ねえ。しかしその他となると、まあ扱いにくいだろうね。駅のスタンドにかけるさい、ちょいと持ち上げるなんて・・・できない人もいて不思議ではない。

 子供を乗せて、自転車を引いている際に倒れたら・・・それは悲惨だろう。まずは子供のベルトを解いて、子供を救出してから、最後に自転車を起こすことになろう、そうでないとまずは無理そうだ・・・。

 この手の、そういう重い自転車の前ブレーキが、非常に高い確率で、こんなの・・・なんでありますよ。

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 ああ、これこれ!という人も少なくないと思う。大方こいつに対して、いい印象を持っている人は少ないんじゃないか?メンテする側からいっても、まあ、一言やめてくれ・・・というブレーキだわな。

 このセンタープル、なんかどこかの失敗作に似ていないか?
 
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 かっこよくいうとあのデルタブレーキ・・・カンパのな、通称イカブレーキだ。あのアルミのプレートは当時宇宙人が作ったのか?と思ったほどの軽量の良質なアルミプレートだった・・・、それだけには腰抜かしたが・・・、あの複雑な、折角の力を右往左往させて、しまいには減量させてしまう、無駄な機構は・・・、ブレーキなんだから効けばいいんだが・・・、効かない・・・ほとんど効かない代物だった・・・。

 まあレースの現場では省かれるわな。その分というか、失敗印刷の切手にプレミアが付いて暴騰するように、その手のファンには未だに人気があるようだ・・・。

 そいつの機構をなんかマネしているような感じ。そして、こいつも効かない・・・。とことん効かない・・・。ブレーキだから効けばいいんだが・・・、効かない。

 ダメだろう?一体いつまでこいつを付け続けるつもりなんだろうな?既に製造されていないのかな?まあ、そうだとしたら、ある意味当たり前の判断だと思うよ。

 効かない・・・、そしてこいつはまた、

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 ワイヤーを止めるための中心のネジ山がダメになっている。一般ネジで修復できあれば、まだいいが、見るからに、特殊パーツときている・・・。まあこれだけのスモールパーツはやっていないだろう。仮にあったとしても、わざわざ効かないブレーキのために、再生させるか?ってんだ・・・。

 全くイカのくせにタコなブレーキなのだ・・・。さすれば、交換といこう・・・と思うが、まあこれが・・・、いたずらにアーチの長いものを要求してくる・・・。

 これほどのものとなると・・・、BMXのヤツしか無いんじゃないか?あいつは、見せブレーキ・・・にほぼ近い。ついているだけのアピールといってもいいんじゃないか?つまり、アレも効かない・・・。確かにあんなタラバガニのように長いアーチなら、剛性が抜けても無理はないだろう。

 そうなると、まともなブレーキアーチで、曲げか、下駄作戦しかない・・・かな?

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 アーチを下げないと、リムまで届かない場合、たまにやる下駄履き施工。元々は、塗装の富新さんが考案したものだが・・・。

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 元のブレーキ穴にボルトを通して、二枚のアルミプレートを固定し。その下に、ブレーキ用の6ミリの穴を貫通させて、固定する方法。

 土台となるアルミプレートは、ブレーキのものを含む二本のボルトで固定されているので、原理的にズレることはなく、強度も上げられれかつ、アーチを適正位置まで下げることができるという、仕組みなのであります。

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 裏から見るとこんな感じ・・・。なので、全面的な泥よけは、外すしかない・・・。

 もしどうしても・・・といおうのであれば、フォークから後ろのみ、前をちょん切って使うしかない・・・。まあ、ドロをはねるのは基本、ホイールの後部となるので、どうしても必要な場合に限り、取り付けを考慮してもいいかもね・・・。

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 という事で、ほとんど見た目は変わらず、ブレーキの効きが向上した・・・という事であります。

 突然の雨なんて事もあるので、ダイナも付きディスクブレーキハブで前輪を組むのもありですね、前だけでも、できれば油圧のディスクにしてやるというのもいいんじゃないの?とすら考える。

 少子化なのかね?当店も即売りママ狸んを作ってないが・・・、前ブレーキ油圧ディスクはいいと思うなあ・・・。できればTRPでね!


逆ペダルのためのBB



 実はちょっと懐かしい、自転車なんであります。

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 こういうハンドルです。左ハンドルが妙に簡素ですが・・・。

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 握りだけ・・・、ということはブレーキはどうなっているの?

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 右のみに、前後ブレーキを集めて、シフターもあるという形式にしています。というのは、左手に握力がほとんどないという、条件からこのようになったわけであります。

 こういう施工をすると、片手に事情がある方からの依頼が来たりする。どこまでできるかはわかりませんが、できるだけのことはやるというスタンスでやって参ります。

 そして今回は腕周りではなく、足回りということです。

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 このクランクですと、逆足回りで行くと、ローにかかっている場合、チェーンが外れるという事態が起きる。

 シングルなので、アウターローということではないが、まああまり相性のいい組み合わせではないので、そのギアは使わないで・・・、もしくは逆回ししないで、ということなんだが、やはりシングルだけあって、使うときは使う。

 そして逆回りは、踏み出し地に有利な二時の位置にペダルを持って行くときに、思わずやってしまうというのだが、そのたびにチェーンが外れていてはやりにくくてしょうがない・・・。

 なるほど、対応します・・・。

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 チェーンライン?が原因?かなり精度の高い今日のレーサーであればアウターローでの反回転でもチェーンの落ちはかなり抑制できる。特にここ最近のテンションボルトの性能が上がったので、その傾向は顕著なんであるが。

 少し前のぼけ気味なテンションボルトの際には、アウターローでのチェーン落ちは、まあたびたび起きたものだ。変な癖つけないこと!で済んだんだがね・・・。

 なので、このクラスのチェーン落ちは仕方ない?で済ませられるか?

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 どうもこのBB、幅で過ぎてないか?計ってみると128とか、その理由のわからない幅の広さであったのだ。

 ・・・大手のボリュームゾーンを作る際に、あまり気味作りすぎ気味パーツを安く利用する、という傾向があるのか?というくらい、この自転車に、この幅のBBを使わざるを得ないという合理的理由が見えない・・・。

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 いろいろ試して10ミリ以上幅を狭くして、再度クランクを装着。

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 落ちなくなったのでカバーをつけて、実際に走りながら、チェーン落ちの検証をする。

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 確かにシングルギアなんで、ローを使うなと言うわけにはいかないんで、こういう調整は必要・・・なんだろうな。

 チェーンウォッチで脱落防止まで考えたが、今回はこのチェーンライン変更で、大丈夫なようだ。

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 片手に握力がほとんどないところでも、工夫すれば自転車に乗ることができる、いや、それ以上にこの自転車を見るにいかに乗って、使われているかがわかる。うれしいよねえ・・・。

 どうやらこの酷暑の都市で、二年後にはパラリンッピックが開催されるという。そういう都市であれば、様々な障害に合わせたインフラを中心とした整備、およびそれに準じる装備類のバリアフリー、そして何よりも、障害や老化に関する「健常者」側の意識のバリアフリーを浸透させていくことが責務であり、急務であるはずだが・・・。

 未だに東京都でのタンデム自転車の公道許可が下りたとは聞いていない。その代わり隣の千葉では下りたと聞いた。そこで公道練習すればいいとでも言うのだろうか?もしそれで終わってしまうとすれば、何というみっともない都市、東京であろう事か。

 あらゆる人が福利としての生涯スポーツを享受できる形式を各方面で確立していかないで、何がオリンピックでありパラリンピックなのであろうか?と思う。

 東京は新興国のごとく第一回目のオリンピックではないのだ、成熟国としての二回目のオリンピックなのだ。しかれど、学徒動員的な半強制的「ボランティア」、これも臨時雇用することによる事故の責任を取りたくはないという開催側の無責任体制のあらわれだろう、そしてしまいには、銀、貴金属の供出依頼と来ている。

 グローバル企業とその周辺がやり逃げし、後には膨大な借金を残すだけの運動会ということはほぼわかりきっている。されば、その中でもあらゆる人々の生涯スポーツに関するハード・ソフト面の成熟を勝ち取らないで、いったい何の意味があろうか?

 まあ、大上段に構えずとも、どんな人の条件であっても、自転車というものが形を変えつつ、利用できるように、自転車屋はその持ち分を発揮するしかないだろう・・・な。 

とある夏休みの日



 奥多摩にあるこの多摩川水系って、いいんですよね。キャンプ場があって、今回で四回目かな。

 今回はちょっと気温が低かったので、しっかり泳げなかったが、ちゃんと用意して、準備していけば、相当の水練になっただろうと思う。

 子狸の保育園時代の友達数名とその家族でお出かけする。その内、ばらけるかな?と思いながらも、続く限りこんなキャンプ企画参加できればいいなあ、と思ったりもする。

 こうしたイベントの際には、自然と適材が適所を守ることになる。店主は、火起こしと維持と食担となることがほとんどである。

 杉の葉っぱを探して集めては着火剤にし、小枝を集め、徐々に太くし、薪へと、そして木炭へ着火させていく。木炭に着火させると、それが下火となるので、起こしたくば、また薪をくべて、あおげば火はでかくなる。ガスコンロほどの微調整はできずとも、後は遠火、近火、薪省きなどで調整すれば、ソコソコの調理は可能となる。

 そして、人もワイワイだし、なんせ落ち着かず、小さい子供もいるので夜中に起こされたりと、まああらゆることが起きるので、一通り係が終わると、休むことになる。

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 ベンチに仰向けになり、木漏れ日を薄目で見ながら、ウトウトするのはちょっとばかり至福なり。

 ハンモックも悪くはないが、横に揺らすとダメな店主、すぐに船酔いになる。

 本来なら、もっと自転車を交えての企画など店主らが中心にやっていかなければならないはずだが・・・、まだできていない。

 川崎の臼井輪業さんなどは、すごかった・・・。大変学ばせていただいた、自転車店だった。それこそ奥多摩の夏キャンプなど何度参加させてもらったことか・・・。

 まだまだその十分の一もできていない・・・と大反省。

 と、そんなことなど考えながら、ボーッとしていると、よその子供達の遊び会話が聞こえてくる。

 声出しアピールと、性格の強さ・・・。黙殺のアピールとこれまた性格の強さのぶつかり合い、二人の女の子は遊びながら、ほとんど仕事のような会話をしている。

 その会話の隅々に至るまでが、社会の縮図のようなのだ、三歳ぐらいか?この二人の女子は実に見事だったなあ・・・。
 

 そこで実感・・・、やはり大人など、まさに子供に毛のはいた程度のものだ、ということ。

 確かに、内部の意識状態からして、いつ子供から大人になったのか?全くその境界線がわからない。大体の人はそうなんじゃないか?と思う。

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 上げ膳据え膳でないキャンプ形式は、自分で動かないといけないところが多いので、その分疲れるが、それがまた別の充実感につながっていく・・・のかな?

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 そんなキャンプの終了日、帰宅の途中に訃報が入る。

 同級生の後尊母様が亡くなった・・・と。

 小学校時代、お互いいりびったっていた家のお母さん。

 面白いのが四年前、三十年ぶり近く会っていなかったのに、突然家を訪れて、その孫の自転車を届けに行ったとき、こちらは名乗りもしないうちに、「今お母さんが出かけて、私一人なのわかるところに置いておいて・・・」とまるで、自分が小学生の頃、家を訪れたのと同じよう対応だったのには驚いた、もちろん店主の方も一目で同級生のお母さんとわかったがね。

 思い出とは掘り起こすもんだね・・・、掘り起こせばまた出てくる。人の記憶にも自分の記憶が絡まっていたりするんで驚くことも多い。

 キャンプで遊び、ちょっと働き、休んで、そして訃報を耳に、お悔やみ参り・・・。

 不思議なんだが、すべて自然に感じられた、とある一日でありました。

柳号小径車出る!



 同敷地内で頑張っている柳サイクルさんです。ぼちぼち新作自転車フレームが出て行きますね。細かい修理から、事故の検分、ディスク台座付けなどの改造まで、引き受ける仕事は様々です。

 後数ヶ月ほどで、ビルダー本業1本でいけるんじゃないか?なんて思っています。

 事情があって、しばらく当店にあった、小径フレームが嫁入りしますよ!

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 このヘッドチューブの長さが小径車であることを物語っていますね。もちろんこの長さ対応のヘッド圧入工具はありませんので、別の方法でやります。小径専門店なら、専用工具でも作るでしょうねえ・・・。

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 通常のスタッカート型のフレームより一本多くある、というのがこのフレームの特徴かもしれませんね。

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 これが全貌となります。柳さんにとってこのフレームはほんの数本目だったらしいので、作ったはいいが、どんな乗り味か?というイメージが付いていなかったようです。

 今回完成車となって、もちろん最初に試乗したのは柳さんでした。

 さて、こいつに何を載せて完成車にするか?

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 基本コンポはソラ、小径なんで男ギア52*39でいきました。もっとあってもいいかもという裏計画あり・・・。

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 コンポとしてソラはもうかなり十分といっていいでしょうね。よくできています。

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 このSTIも、9速で、ブレーキの引きもいい。・・・もうこれで十分なんじゃないか?と思う内容です、ある意味おすすめ。

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 ブレーキだけは、ロングアーチが必要でした。でも、同じ黒、ダイアコンペの101、名作ですね。

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 リアもです。

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 小径の20インチといっても、451というタイプなんで、一回りでかい22インチといってもいいくらい。

 そして、小径の良さはここというのが、踏み出しが軽い。なので、信号の多い都心を走るにはもってこい、ともいえる車体であると思います。

 後は小径の場合、前ギアをでかくすることが可能なので、ドギモ系自転車にするのも面白いかもしれませんな。

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 まあ、これは比較的おとなしいですが、この持ち主になる方・・・ちょっとそんじょそこらの方ではありません・・・。

 実は、とあるスポーツ、競技の全日本クラスを張っていたお方なんですねえ・・・。この九月にも、OB大会に出る、マスターズみたいなもんでしょうか?

 そんな準現役アスリート気質な方なので、たぶん、この小径で走っていて、後ろからレーサーなんかに抜かれたら、だいぶ高い確率でカチン!と来るんじゃないか?と想像が付くんですよ・・・。

 そこで機材的は秘策がある・・・。クランクをトリプルにして、アウターにロード殺しとして60Tぐらいの本気チェーンリンクをつけておく。センターに50前後、インナーに39かなにかをつけておく・・・という手もありかなと。

 ダブルのクランクのインナーに延長ボルトでトリプルにする・・・というのもできるかな?

 抜かれた瞬間、アウターにチェンジして、レーサーに直づけ・・・、頃合い見てトップに入れて、ぶち抜く!なんてやりそうだ・・・。
 勝負師の性のようなもんだ。 

 体もまた変幻自在だろうから、ポジションなんかも多様に対応できるようにしておく必要もあり・・・。

 ということでこの車体につき、変化は続くだろうと思いますね・・・、よーくこの後の変化など憶えておいてくださいよ!


夏休み泥棒市場・・・



 夏休みの真っ盛り、なにやら当店敷地内に、怪しげな市が開かれているのであります。

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 なにやら、この子狸一味が、チョコマカと工房内をうろついていたかと思っていたら、その内店を開き始めた。

 ねえ、これ買ってよーと営業を始めたんであります。さっきまで、なんか拾っては、こちらに持って来て見せては「これもらっていい?」といっていた奴らが、店を開いたんであります。

 最初は、アチコチに落ちているものを拾ってくるので、ちらとしては不要品は奴らにやり、そうでないものはちゃんと場所に戻せよとやっていたんだが、これがいい片付けになるとも思ってね。

 実際、床に落ちていた小物中の小物なんかはかなり片付いた、しめしめと思っていたところの開店である。

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 小物といえば、タンナスのピン、ワッシャー類、ニップル、チェーンピンなどさすがにいらないものといってやっただけあって、買おうという気の起きるものはない・・・、当たり前だが・・・。

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 しかし、眺めれば、本当いろんなものがあるなあ・・・と、店主でもつくづく思う。それを一つずつ持ってこられては、そのものの名前と用途をいって、必要な理由とそうでない理由まで話していたんだから、よくよく考えると店主もすごいもんだ・・・。

 これって、子狸の夏休みの宿題にならないかな?と思ったりもした。段ボールか何かに、拾ったものなどをくくりつけたり、テープで留めたりして、その用途を書いて提出する・・・。

 子狸としては相当の手抜きだが、作品の質量としては決して軽くはない。半分壊れているくらいのものがちょうどいい、その方が通常は見えないものの中が見えるからね。

 それなら、小学校一の自由研究にしてやる自信はあるなあ・・・。

 そんなことなんかを考えていたんだが・・・、あまりにも商売熱心で、あれ買え、これ買えでうるさいんで、ちょいと値踏みでもしてやろうかと、のぞいてみると・・・。

 なんと金目のものがありやがった・・・。

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 なんとこれ、英式バルブの芯に当たるパーツ。こいつに虫ゴムをかぶせておけば、パンク修理の際に大活躍である。しかし、こいつよくここまで探したなあ・・・。

 40本近くはある・・・。

 そこで、その金具に限り1本一円で買い取ってやるから、きれいに虫ゴム外して持ってこいと。

 小さい手だからか、結構小起用に破れた虫ゴム全部とって、持ってきた。内心結構助かるなあ・・・こいつと思う。

 しかし、無造作にも床にかなりの数落としていたんだ・・・と反省。

 金具を数えて掛けることの一円で計算したが・・・、もしかしてと取引を持ちかける。

 おまえ、外した金具に虫ゴムをちゃんとかぶせて、こちらに渡したら1本につき十円で買い取るが、どうだ?と。

 1本だけ模範を見せる。虫ゴムにディグリーサーを吹きかけ、滑りをよくしてから金具に一気にかぶせる。途中でしわになってはいけない。またちゃんと被さっていないのもダメ、その辺注意して、どのくらいできるか?を横目で見ていたんだが・・・。

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 最初の1本はちょっと時間がかかったが、要領はわかったようだ・・・。さて残り40本どこまで根気が続くかだ・・・。

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 すると、かなり熱中しているようだ。そして小さい手が実によく動く。比べちゃなんだが、ペルシャ絨毯の細かい文様を織るのには子供たちの小さい手が向いていると聞いたが、細い金具に細い虫ゴムを手早くはめる作業にも共通点はあるのか?なあなどと思ったなあ。

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 初めてにしては、かなりの早さですべて終了・・・。

 その後、それに気をよくしたのか、また工房各所を這いずり回って20本近くを探しては、すべてに虫ゴムを掛けた。

 まあ、ここまではまるとは・・・。

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約束の給金・・・。できるだけ細かくして、使いにくく・・・それともう一つ狙いがあった。

 稼いだ給金はすべて・・・。

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 台湾土産の「招財進宝」という貯金箱に収納。子狸としては、早くこいつがいっぱいになってほしいので、一円でくれ・・・などと言っていたが、その辺はまあ、ちょっと常識の範囲でということで。

 まあ、降って湧いたような、夏休み泥棒市だが、定期的な小遣いをやっていない店主としては、これはちょっといいかもなんて思ったりもした。

 家の手伝いするのに金銭を介在させるべからず、という考え方はあるだろう。もちろん基本はそうだ・・・。ただ、金はどこからやってくるのか?という出所を知っておくというのも重要なことかもしれない、もちろん程度問題だが。

 そして、この泥棒市ごっこしながら、やつもいろんなことを学ぶはずだ。最初は遊び、そしてちょっとしたお手伝い、店や周りの人に役立つことなんかを楽しんでやっていたのが、ちょっと金にばかり目が行くようになり過ぎると・・・、展開によっては、煙たがられたりすることもあるだろう・・・。

 そういう時、金儲けと人間関係の背反やら、その落としどころなどどうしたらいいのか?なんて結構複雑な関係を生きることを学ぶだろう。

 それから早々に虫ゴムはそこをつきるはずだ・・・、多少こちらも使い古しの金具など無造作に落としたりもするが、そう最初のビギナーズラックのような稼ぎはできない。そうなると、奴さんは次何が換金できるか?なんてことを考え出すんじゃないか?ね。そういう中にちょっとしたヒントとかがあったりするかもしれない。まさに、小間使いの隙間から何かを探し出すかもしれない・・・。

 それを卑しいなあ、このガキ!と思われない、へえ、そう来たか!と思わせるような視点なんか持てたら、将来は暗くないかもしれない・・・な。

 ある意味多少緩いが、店はすでに社会の一部であるから、そこで学ぶことは多いだろうねえ・・・。あくまでも程度問題の中で、遊ばせてやろうか?と思ってはいるんだが・・・。

 しかし、今日の虫ゴム捌きなんか見てみると、二年以内とかに、パンク修理なんかやっているかもしれないな・・・と思った手つきであった。

 さて、そうなったらどうするか?まあ、そうなったとき考えるか・・・。

 

老婆と天使



 これは焦げかな?と一瞬思えるほどの定着した錆とでもいえるものでありましょう。きれいかといえば、お世辞でもきれいとはいえませんが・・・、汚らしくはない・・・。この自転車の歩んできた軌跡のようなものも感じられる。

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 デモンタブルなのか?それより錆びた鉄管のようにも見えますね。自転車のパイプというより、ここだけ見るとなんか建材のようでもある。

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 決して手入れはいいとはいえないが、革サドルで、気に入られてはいる。だからもう少し手入れ法を憶えれば、これも生き返るんだろうなあとも思う。ただ、これはこれでなんとも悪くはない。

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 ハンドルもこの自転車の雰囲気の一つである。素っ気ないカーブ、最低限のブレーキ・・・。ということは?

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 リアはコースターブレーキ。もちろん合法ですぞ。足を反回転すると、リアホイールがロックされるという形式。チェーンの強さに依存しますが。

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 そういえば、今回は制動周りの交換などが依頼だったか。小ギア、チェーンと・・・、

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 一体型のチェーンリンククランクとでも言うかな?アチコチ古いが、制動が新しくなったので、走りも回復で、見た目は古いが意外と快適な一台ということになった。

 しかし、この錆と全体の緩さと素っ気なさが、実は総合されると、意外と美しかったりするから、面白い。

 しわが深くアチコチにシミがある老婆も、時折天使のように見えることがある・・・という記述がある。実際にそういうことってあるでしょ?子供が天使なのは当たり前だ。老婆が実は天使なので、驚く。分析できないので、さらに驚きが長続きする。こいつがまさにそうした一台なんだと思う。

 だから、持ち主はそれをどこか意識して乗っているし、今回の依頼も持ち主がこの自転車にだいぶ気を配っている証拠なんだとも思う。

 ではその老婆が天使に見えるその瞬間・・・、この自転車はこんな天使なんであります。

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 ネ!だから言ったでしょ?

実物 さてどう出すか?



 何の変哲も無い、アルミシルバークランクです。

 でも、じゃあ、こいつとほぼ同じ奴を探しておいで・・・と言われたら。ちょっと知っている人だったら、今のシマノ、カンパ・・・、スラム・・・・現行品でないよね・・・となる。

 いやいや、でもなんかあるでしょ?確かに・・・、スギノはシルバー持っていますよね。

 でもスギノの不思議ってあるんですね。確かにラインナップはあるんです。取り扱っている業者は多い、そこのホームページなんか見ても、スギノに相当ページ割かれているんだが・・・。その大抵が、「取り寄せ」とか「予約」とかになっていて、いつ入荷するのかがハッキリしないものだらけ。

 まあ、多分受注作成なのかもしれないね。

 そして、相当いいものも作っているが、中間レベルで欲しいものがピンとしない・・・、がんばってはいるんだろうが、スギノがあるから大丈夫!!!という大船に乗っている気にはなれない。

 ところで、再度、上のようなファイブアームのシルバークランクってありませんか?ということになると・・・、考えるに、入荷がなかなか難しいことがわかる。

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 このクランク本体は、鋳物ですね。あとからちょっと磨くなどの加工も可能です。BBも多分110レベルのスクエアテーパーものがあれば、問題は無いでしょう。

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 こっちはもうちょっと凝っているかも知れません。シングルクランクですね。古めのテイストの自転車に、いいかもしれません。

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 こいつも裏を見れば、鋳物であることがわかります。もうちょい整えてやると、高級感出すかな?エエなんで?だって裏でしょう?と思われるかも知れませんが・・・。

 クランクというのは意外と裏が大事なんです。自転車を側面から見ると、必ずどちらかのクランクの裏が見える、それも表のものとの対比で見えてしまうので、表ばかりを綺麗に磨いて、裏をほったらかすと、むしろみっともないくらいに目立ってしまう、でしょう。

 同じくなかなかこの手の物はない・・・。

 さて真打ち登場と行きますか?

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 これなんかは、鋳物ではなくて、削り出しのもの。CNCの回転していた刃のあとがわかるくらいのエッジの立った、削り出しクランクでありますよ。

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 手で触っていても、ものに切れがあります。カチッとしている・・・。だから何?と言われれば・・・、困るがもの作りに隙が無いとでも言いますかね?

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 ちょっと工芸の域に行きつつある感じであります。古いパーツ類なんかを良くいじる当店では、かつてはこの手のパーツだらけ・・・といってもよかったと思います。

 何気なく付いているクランクを外して、洗浄して磨いたいるすると、けっこう手の込んだもの・・・、ある意味手を抜くだけの技術が当時は無かったのかも知れませんね・・・、逆説的ではあるが・・・、凝った作りのものなんかがあった。当時は直球勝負一辺倒だったのかな?とすら思いますが。

 それを今の技術で、どこまで、どの程度まで再現しつつ、かつ改良したものを現行品として作り提供することができるのか?

 この手のサンプルは教えてくれるのであります。

 さて、この手のパーツ類、適所があるのだろうか?可能的にはあると断言できるが、現実的にあるのかどうかを判断するのは難しい。

 ただ、いずれにしろどこかに顕在させておかなければ、現実的に広まることはできない・・・。

 じゃあだれがやる?どこに顕在させる?そしてどう広める?

 ウチが・・・ここで、そしてどうやってか・・・という事なのかな?とも思う。

 やっぱり大手とは違った、選択肢をどうにかして掘り起こして、維持していかないと・・・、面白くないよね。それは確実だ。小数大手の作るものにいやも応もなく従わざるを得ないのは、それが一定優れていることと、そもそもの選択肢が少なすぎること以外にはないだろう。

 なれば、選択肢を増やす動きをするしかない・・・。そのための障壁というのはいくつかあるが、日常業務との兼ね合いもあるので、できるだけ手間とリスクは低くできないものか?と考える。

 そろそろ役者がそろいつつある・・・、あとは知恵とタイミングだな・・・。

BBに関してシマノ・スラムの互換性なし



 クランク交換の依頼が来たんだが、こいつはよく見ると、シマノ互換系の例のもの。このメーカー単体でいいものも作っていながら、完成車からいわゆる抜く、という際にこいつが使われることがよくある。

 これを純正スラムに変えたいということだった。

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 中古でせしめてきたらしい。スラムフォースのクランク。カーボン・・・のようですな。これを取り付けるとなると、本自転車のコンポは基本スラムフォースにて統一される、ということになります。

 では、まずフォースを入れる前に、抜かないといけませんな。

 抜くための工具は?ちょっと探してみたりしたんだが、なんとこいつを抜くのに特殊工具は必要ない、ということを思い出した。

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 ある意味8ミリで反時計回りに回していると、自然と抜けてしまう・・・。なぜ?圧入されているなら、そう簡単には抜けないはず。ということは圧入ではないの?

 いやいや、圧入されているクランクが、フィキシングボルトを反時計回りに回すだけで、外れてしまう、まあ、よく考えられた構造をしているんであります。

 確かカンパあたりがすでにやっていた形式かな?とも思いますが、記憶は曖昧だ・・・。

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 秘密は、このフィキシングボルトを囲うこのナットにあるんだな。ボルトをあげようとすると、このナットにぶつかる。さらに上げようとするとこのナットごと一緒に引きあげようとする、その動きがクランクを外すのと同じ動きと言うことなのだ。

 なので、圧入の際には8ミリのアーレンキーだけででき、抜く際も同じく8ミリのアーレンキーだけでできるという、考え方によっては、大変優れた構造しているというわけだ。

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 このようにポコッと抜けるわけであります。後は右クランクをゴムハンマーでたたき出せば終了。

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 外れました。残ったBBも外しましょうか。

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 こいつはシマノ互換のものであるが、これがそのままスラムフォースには使えないというのは、ちょっと驚いた。

 スプロケ、ホイールの形式などは、シマノ互換をしていたスラムだけに、どうせこの辺だって・・・と考えたんだが、違ったというわけだ。
 
 ちなみに、シマノとカンパ取り混ぜをシマニョーロというが、シマノとスラム取り混ぜをスラノというのだそうだ。前者はいろいろ小技が必要だが、後者はメーカー自身が認めているものなんで、比較的簡単・・・というか当たり前・・・なんであります。

 変速、シフターをどうしてもスラムのダブルタップを使ってみたいというならば、ダブルタップと前後ディレーラーをスラムにすれば可能であります。

 ちょっとそうしたバリエーション的使い方なんてやってもいいかとは思いますね、せっかく互換性を公認しているんですから・・・。ただ、スラムって、本当日本で展開する気あんの?ってな値段設定等をしているので、そう簡単にすることはできないんだが・・・ね。

 さらに、ちなみにもう一つの組み合わせ、スラムとカンパの取り混ぜ、スラニョーロ?実際やっているの見たことないが・・・、可能的ではある。実際カンパのデザインなんかも、ぶれているというか?なんか投げている感があるので、ポテンザあたりと組み合わせたりしたら意外と面白いかもしれないね。

 安直なのは、ダブルタップと前後ディレーラーをスラムにして、クランクブレーキ周りをカンパにするという・・・、ということはハブ周りはシマノになる・・・?

 ということは、シラニョーロ・・・ということか?

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 さて、シマノ系と互換性のない、BBというのがこいつ。ちょいと芸が細かい。

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 右クランクの系と、左クランクの系とでは2ミリのずれがあるということが判明。

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 このこだわりは何なのかな?と思うね。シマノ互換にしておけば、それこそFSAや、スギノなどの優れたサードパーティーなんかも利用できるのにね・・・。ここだけ独自規格にしたというのは、それなりの設計思想か、それとも後発メーカーのプライドか?

 クランクだけを見て、この2ミリの差の構造的な、なるほどそうか!的な発見は今回はできなかったなあ・・・。

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 とりあえず、無事つきました。このクランクが固いか柔らかいか?については、流行でゲスだが、コメントは控えさせていただく。

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 とりあえず、フォース統一完成・・・・というところかな?

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 このダブルタップだって、慣れの問題で、決して悪いものではないと思う。ブレーキの引きも犠牲になっていないという意味では、出たてから、優れていたともいえるかもしれない。

 また手の小さい人には向くという話も聞いた。これが適度な値段設定で、かつ、スモールパーツ等の供給もスムースであったりしたら、それなりのシェアは広がるだろうと思うんだが・・・、当のスラムが日本の市場など興味がないのかもしれないね。

 そう、台湾でも相当の敷地を誇る工場をお持ちのようだ・・・。せっかく三大コンポなんだからね・・・。もったいない・・・。

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 持ち主はまだ相当若いし、今後こいつをどう乗っていきたいのかわからないが、とにかく自転車は好きなようだ。競技より・・・とも未定なようだが、まあ、こいつで暫くは、ニタニタと走るんだろうなあ・・・。

シングル 少多段 多多段へ



 そもそもは委託で置いていた癖あり一台なんですが、それがこれを理想だ、とする方へ引き取られたんであります。

 それぞれお好みがあるんですねえ、こういう自転車を愛好される方を見るたびに思います。

 そもそもは、シングルだったんでした。

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 135エンドにスペーサーでシングル化して、対岸にはディスクがついている。いつでも多段化できる、マウンテンから来たタイプの種類でしょうか?この辺の出所については、店主は詳しくはありません。もちろんその後起こっている展開なんかも、ほとんど知りません・・・。

 この状態で持って行かれたんですが、今度は、これをこれまたスペーサーを使って、四段という、少多段化して乗っていた。

 それはそれなりのスタイルがあったように思いますが、乗っている内に、しばらくはスタンダード的な自転車に乗ってトラブルフリーな感覚でいたい、と思ったんでしょうか。

 通常の多段化、今回は八段と、シフターのフリクションではない、引きしろ決まり型で行きたいということになりました。

 癖のある車体を楽しんで乗れている内はいいんでしょうが、それが段々と面倒になってくることだってあります・・・、別に我慢してまで乗り続けることもなかろう、ということなんでしょう。

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 8速のスプロケに交換です、今や珍しいかな?12-25の8速です。

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 それに二世代かな?もう少し前かもしれないティアグラをつけてみました。この頃のものは癖がない、この後ぐらいから、シフターと引きしろの工夫時代に入ってくる、フロントに至っては、後退したんじゃない?と思えるような展開もありましたが・・・今やまた次世代の安定期に入りつつあるんでしょうか?そうマウンテンコンポ化?

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 シフターは一見フリクションと思いきや、カチッカチッと引きしろの決まるタイプ、SISというタイプ。これなら、勘に頼らず、しっかりシフトできますね。

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 見た目や、特殊なスペックにこだわって乗るときもあると同時に・・・、乗り慣れるや実を取りたくなることもあるというのが、人の常かもしれません。

 やせ我慢で乗る自転車があってもいいと同時に、そうではないごく普通にトラブルフリーで気軽に乗れる自転車があってもいい。改造なんて、大体この間を行き来するようなものかもしれなせんな。

 またいたずらししたく、なりましたら、ご相談ください、悪のりするときはまた、輪に輪をかけて、おつきあいいたします。

 

完組折れた・・・ぎりぎりセーフ



 結構長いこと使っていた、ホイールのスポークが折れたんだが、修復できないか?ときた。メーカーはシマノ、なら・・・・大丈夫じゃない?と思っていた。

 そうシマノのスモールパーツの管理と提供能力は他を追随させないシステムを持っている。これは何度言ってもいいことだが、これに関しては、シマノには頭が上がらない。

 こんなスモールパーツの詳細な提供したって、手間ばかりかかって、収益などほぼないようなもんだろう、煩雑で、最も最初に切り離したい分野なのではないか?

 まさに、そのスモールパーツはないんで買い換えてください!を連発すればすむ話なんであります。それをまあ、ワッシャー一個から発注できるようにするなんて・・・。

 自転車コンポメーカーの社会的な責任というのを採算度返しで果たしている・・・という意味で、高邁な企業であることがうかがえると思う。まさに、自転車小売店としては感謝、感謝なのである。

 そんなこんなで、探してみるに・・・なんと十年くらい前のホイールであることがわかる。ネットの画面から、スモールパーツに入っていくと、相変わらず、細かいパーツ一個一個に番号を振り、その在庫状況に×、○、△などをあてて管理している。

 目当てのホイールが見つかり、スモールパーツに入っていくと、ニップルは数個確保できる・・・、問題はスポークである。

 あったよ・・・、あと何本手配するか?五本くらいあってもいいかもなあ・・・。

 なんて、数打ち込んで最終出荷指示を出すと、なんとご希望の数のスポークは確保できませんと来た。

 そこから一本一本ひいては、指示を出すが、最終のこりの一本・・・となるまで、それが続いた。

 ということは、こいつが最後の一本なの?駆け込み一本ってわけ?ラッキー・・・じゃない。

 とりあえず、関係するスモールパーツ類をとれるだけ取って待つ。

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 来たよ・・・時に神々しくも見える、この光景。だって十年前の完組ホイールのスモールパーツが手に入るんだぜ・・・。在庫してあっただけでも奇跡だよね。

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 こういう特殊形状のスポーク・・・。

 そいつをリムから通して、今度はハブ側に取り付ける特殊ニップルをかぶせてみる。

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 一般パーツのスポークニップルとは似ても似つかない・・・。特殊スポークなんですね。完組を購入されるとき、できれば購入と同時に、スペアスポークニップルを購入しておくのはお勧めできますね。ついでに、それを管理する工具が特殊であればあるほど、自分で持っておくというのが理であります。それを渡して、メンテしてもらう・・・というぐらいならないとね。

 時が変わって、製造中止になった後でスポーク損傷が起きても、もう手も足も出なくなりますからな。

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 通常ニップルはリム側に来るが、こいつはハブ側にもうけているのが、特殊設計らしい。

 慣れの問題は大いにあると思うが、ハブサイドで振れ取りなどするのは、やはり難しい。

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 この手の特殊向き工具を使って、スポーク管理をしていく。

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 リム側のニップル設定であれば、一直線に調整できるが、このようにハブ側から二本線となっていると、ニップル回しをその都度左右に振りながら持って行かねばならない、なかなか面倒である。

 ただ、利点があるとすれば、ニップルという抵抗のある素材が、リム側という最も空気抵抗のあるところにはなく、むしろ回転の遅いハブ側=空気抵抗の低い所に置いたという点は、大変評価できると思うが。

 ある意味それだけ・・・かな?慣れの問題もあるが、調整はしにくい・・・といえる。

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 かくして、十年くらい前ながら、一本のスポークというスモールパーツがとれたため、この完組のホイールの寿命は多少延びたと言うことができる。レーサーに関わるすべてのパーツ類は、かくあるべし、と思う。

 なんであれ、それなりに工夫されて、試行錯誤を経て開発されたものは、それなりの値段はし、かつその継続使用とメンテナンスのためには、それなりのコストはかかるというのが当たり前なのだ。

 それを支えるサポート体制が、大変高いレベルで整っているシマノという会社は・・・、冗談じゃなく、世界に冠たるものだろう・・・。

 まあ、今回はたたえておこうか?別に言いたいことは山ほどあるが・・・。

無駄に金使わず 要所に使い後は頭を使った学生自転車


 
 雪国出身でもないのに競技スキーなんかをやっていたんだが、それが大学に入学した。頑張ってなー、なんて言っていたらもう三年生になっていた・・・、早いもんだ。

 その学生がホイールを組んでほしいと持ってきた。

 その前にこの丸石のフレーム・・・いかにも学生らしい、しかしよく考えられて作られている。所々ボロはあるが、工夫があり、よくぞ此処までやったもんだと感心できる一台でもある。

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 このホイールの組直しを頼まれたんだが・・・。

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 何だよ・・・、名作585じゃないの・・・。もうリムがすれすぎて、違うリムにて組み替え直したいと。そういうリーズナブルな発想は、学生だけになかなかなり。こうでなくちゃな。

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 持ち込みリムは同じくDTの411、名作じゃないの、そしてこれはアイシンメトリーという構造になっている。

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 わかりにくいが、通常リアホイールはフリーと反フリーで側でオチョコ構造になるんだが、それをリムの段階で少しでも吸収するためにリムの方が左右で非対称になっている構造のリムを差すんですね。

 かつてはリッチーがこいつを作っていた。あれも名作だったように思うね。軽量リムで・・・、通常2ミリの差の出る左右のスポークをできるだけ均等になるようにリム形状が工夫してあった。

 そいつの、メーカー越えのリバイバル版と言っていいかもしれない。

 当然、DTで精度もいいんで、申し分はない・・・でしょう。金の使いどころがいいね。

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 ちなみにこやつ、前輪は同じくDTの完組を利用していた。

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 DTのハブ自体も独特なところがあって、良さそうなんだが、いかんせん高額すぎる・・・いずれはそんなものふんだんに使った、半永久型の手組ホイールなんてのも、組んでみたいもんだが・・・。

 その他、各所が工夫の跡がありなんだな。

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 今流行のワイドレシオのスプロケを使用。当然マウンテン系のリアディレーラーで引くことにしたらしい。

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 そして、こんなこと言っちゃなんだが、ありもの風のシングルギアをつけている。前シングルの、後ろワイドレシオなんて、なんか今日型のスペックを狙っているようだ。

 シフターは?

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 なんと、片レバーのない、アームストロング形式でやんのね。でもこちらの方が、左右の形状を似せているせいか、アームストロングのヤッチャッタ感以上にかっこいい。

 ありものの・・・鉄フレームで、なんとも今日的なスペックの自転車に仕上げてしまっている。しかも、ホイールにはちゃんと金使って・・・、わかっているじゃん、こいつ!と思わせる一台だ。

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 この辺なんかちょっとやっつけ感があるが、基本よくできました!とやってもいいだろう。このアウター通しの外側は、もう少しつぶした方がいいね、アウターがずれてしまったら、ブレーキの引きに大変悪い影響になってしまうので。

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 まあ、こんな一台なんだが、なんとも好感の持てる学生号なんだよね、ちゃんと考えられている、しかもホイールという要所まで押さえている・・・、こういうライダーが老若男女に出てくると、その国の自転車文化の成熟度は高い・・・といえるんじゃないか?

 今を去る2年半前か?高校生の頃から来ていた。できた若いもん、というイメージは当時からあったが、なかなか順調だ。

 後は二三度で彼方此方にぶつかって、五六度こけたり起き上がったりを繰り返せば、相当になるね。

 なかなか気に入った!褒めて使わす一台だ、学生だったら、これくらいの一台を頭と縁を使って完成させよ。

 ますます将来が楽しみに見えてくる・・・といいつつ、全く期待してはいけない、と思っておこう。

参りに参ります



 ちょっと前までは、なじみの風景が、今は少し懐かしい、となってしまった中越、稲穂の風景。今年は水が少ない、ということらしい。

 三十の後半から四十代いっぱいをお世話になった地域であります。まるまる十年強、長いようであっという間でした。その間には、米作りのまねごとなんかもさせていただきまして、今となっては人の作った米を食べるなんて「異常」事態が発生しています。

 本当今思えば四十代は中越地域、ことに田麦山付近とともにあったと言ってもいい、もっといえば、二人の菩薩の元に付いていたと言い換えてもよかったかもしれない。

 言われるところの第二の故郷なんて言葉がある。ということは第一の故郷はすでにあると言うことか。

 確かに、自分では選択不可能な時期、つまり生まれたて時期に過ごしたところが、いやも応もなく、第一の故郷と言うことになっているらしい。

 そう言うと、店主にとっては杉並の成宗の付近といことになる。ただ、面白いのが、年齢的に選択不可能な、理不尽な時期であると言うこと、言い換えると生まれてから数年という、記憶も定かでない時期でありながら、そこで過ごしたところが「故郷」なる特別な言い方で言われ、ある意味決定的な影響力を持つ土地のように語られるということである。

 もちろん、その他親族や共同体との所属の問題などもあるので、ことはそう単純ではないことわかるが・・・。ただ、地方から出てきた方々の感慨が、より文学的?歌謡曲的?演歌的?バイアスがかかって、故郷、ふるさとというものを過剰な場として演出した来たという面もあったのかもしれない、といまでは思う。

 ちょうど、中学生が学校を卒業して、故郷を出て、親元離れ東京で就職する。慣れない土地、慣れない人々と慣れない環境に放り込まれ、ホームシック的感慨がヒリヒリするような感受性の中で上乗されてきた・・・というのも多分にあろう。

 しかも、交通網が不便だった・・・。鈍行に毛の生えたような列車しかなかった・・・。そして連絡網も整備されていなかった。公衆電話に並ぶ、気まずい呼び出し電話を借りる、かつては八時以降長距離電話が安くなる・・・というその時間を待ってかけたりね。

 それが、高速バス、新幹線、飛行機と交通網の整備、そして一人一台の携帯時代、無料通話は当たり前、無料動画だって何のその・・・、海外との間でスカイプつなぎっぱなし・・・、そうした技術面でのサポートによる、望郷の念の希釈はすさまじいもんだ・・・。

 まあ、逆もあっただろうなあ・・・。故郷がいやでいやでしょうがなく、逃げるように都会に出てきた人たち、これも多かったはずだ。ほとんど帰郷しない、思い出すのもいやだった・・・・なんてね。

 望郷の念も、その逆も、一定の年齢になると、落ち着いてきた、適度の距離に落ち着いて来る、なんて言うのもまた多いだろうな。そうした時期に感じられる「故郷」もまた、冷静で、すでにどこかよそよそしさがあったりもするのかもしれない、生活のベースは別にあるんだから・・・。

 改めて故郷って何だろう?と。

 店主にとっての杉並、すでに実家も取り壊され、新しい実家は今の西東京の店舗の過ぎ近くにある。そのため、わざわざ杉並に行く必然性はなくなっている。まあ、杉並と西東京なんて地続きには違いないが、あれほど地べたにくっついていると思っていた、五十年しみこんだ杉並への思い、地元への思いが、今や日常の生活の中で確実に薄れている、いや薄れていること自体に気をつけないと気づかないくらいである。

 況んや第二の故郷とはなんだろう?

 店主にとっては結論が出ている、自分で思っている以上にネコではなく、犬だったと言うことだ。つまり土地ではなく、人に付く、タイプの人間だった・・・ということかもしれない。

 土地より縁だ。縁が本質的なようだ。これははたして店主だけだろうか?さあ・・・。

 我々は自然の機嫌のいいときにそこをちょこっと利用させてもらい、その時の重なりを歴史といい、対処の形式を伝統などと言いながら、まさに碇を打ち込むように、あたかもそこに占有権のあるかのごとき振る舞いをしながら、居着いているようだ。

 ところが、自然が機嫌をちょっとでも損ねると、そんな虫どもの意向などお構いなしで簡単にリセットなんかをかけに来ることもあるようだ。その一端をほんの少し前、われらは経験したはずだ。

 そのほんのちょっと、自分たちの生存にとってたまたま有利に働いていた時期に、母なる大地に感謝し、自然にちょっと畏敬し、慎ましやかにその生きる場を確保していく。

 その内、そこをふるさとと、特別の意味を込めて呼ぶようになり、それが故郷となり、その辺まではいいが、それが故国なんてなり始めると、一足飛びに領土となるに至っては、当初の慎みは吹っ飛び、尊大、傲慢、独善きわまれりと増大、増幅し始めるに、たちが悪くなってくる。

 原点は土地より縁ではなかったか?これは店主だけではないはずだ・・・。だから新しい縁があれば、新たな「故郷」ができるのだ。その逆ではない。このことの意味は、今後この社会ではより重要な意味を持っていくはずだ。

 排外に向かうか?それとも新たな生きる場を作っていくか?という・・・、きわめて今日的な課題と直面するに違いない・・・。

 何の話だったか?第二の故郷?でしたっけ?

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 ちょっくらご無沙汰しています、中越に重い腰を上げたんであります。上さんの方が今や中越にダンスの生徒が集中し、月に多いときは二回くらい行ってます。東京にも生徒がもっとできたらいいのにね。

 そのダンスの合宿に使った、小国のキャンプ地に行ってきました。なんと西荻の知り合いが、この地に家をもらって住み込んでは、半農と、地域振興なんかで頑張っている・・・、ばったり会ったもんで、旧交をあたためたり。

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 この施設、たぶんバブルの時にそそのかされてやっちゃった系の跡があちこちに見える。豪雪地帯なのに、なんであの形状の屋根なの?

 雪下ろしどうすんの?

 まあ、当時は名だたる建築士に頼んだんで、こうなったそうだ・・・と。

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 当然当初の維持費など確保することもできず、市が買い取り、条例に基づき、現実的な管理可能なところを伸ばし、ようやく今日の形になってきた・・・ということらしい。

 こんなところは、地方にいっぱいあるんだろうなあ。地域の内発性を無視して、企業の売り逃げ的企画の口車に乗せられてしまったパターンだ。全く罪深い・・・。

 地域の内部を力を喚起するものを育てないと決して長続きはしない・・・。
 
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 ちなみに、この地域・・・だけではないと思うが、空き家だらけだそうだ、もらってくれる人募集!ということらしい。

 豪雪地帯の冬は厳しい・・・。とはいえ、一定の機械と協力でそれを乗り越えられたとしたら、冬の数ヶ月はこもることが可能である地域。こもる仕事、こもる製作、こもる活動を主にする人・・・、そういう作家達には、向いているといえなくもないかもしれない。

 こうした人たちの移住が、新たな縁となって、新たな地域の意味を作っていくかもしれない。もちろん保守的な人はどこにでもいる。ただ、そこにも尻に火がつき始めているとも聞く。

 地域に一人も子供がいなくなった集落がある。そうなると、中年以降の実力部隊の血相が変わる。どういう共同体を作っていくか?改めて人力、関係力というものが試されてくる時がすでに来ている、面白い時期といえばそうかもしれない。

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 この風景の少し先の小高いところに、田麦山の師匠の青山あり。

 墓石の前で、手を合わせてみる。いわゆる、露骨な意味であちらからの声はなし。墓石にしみいる蝉の声のみ。

 ただただ、まだまだです・・・、まだまだ・・・、まだまだこの程度ですというこの身をさらしてくるのみでありました。

 その後、一山越えて、もう一人の師匠のところに。一時に比べだいぶ元気になってきました。隠居小屋と称する、冬場の籠り作業場なんだが、そこがいっぱいになってきたんで、脇にトラクターの収納庫を作り、空間を空けようということをやっていた。

 その屋根かけのための、足場作りを一時間ほど手伝って、バスにて戻ってきた。

 行きかい慣れた道。縁なき第二の故郷なる空間なんかを想像してみたりもした。

部分再塗装



華はないけど堅実に走る自転車と言えば、BSですねえ。いい自転車作っているのに・・・・、何なら販売協力してもいいが・・・、あまり子会社扱いするような言い方するからやめたんだがね。

 あの鉄のネオコットはいいフレームだ。あれだけでも置いておきたい・・・といまでもたまに思うことはあるが。

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 最初はついにBBソケットが割れた・・・、というところから入ってきたもんで、それはビルダーマターだわ、ということで柳さん投げをして置いたんだが、どうも割れているほど重傷ではなかった。

 見ると塗装下にさびが入っているようで、これならわざわざ交換しなくとも、表面処理でなんとかなるだろう、ということになった。

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 この持ち主の方もブルベなどをやっておられるようで、使用の仕方はかなり・・・といったところでありますな。こういった錆なども、たびたび見られるものではありませんので、かなり過酷な使用をしていると言っていいでしょうね。

 周辺パーツを外して、まず錆の撤去となります。

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 どこまではがすか?ということですが、錆の入ったところから慣らしを入れて三ミリ程度・・・というところでしょうか。

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 錆を鉄ブラシを回転させて飛ばし、その後を400番程度のやすりでならしていきます。手で触って段差がなくなり、その周囲に塗料がつきやすい状態にします。

 密着系の下地を塗ってから、同種の色を調色し、何重にか塗ってはかわかしを繰り返し。最後上塗り、クリアを厚くかけていきます。

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 こんな感じで、周囲との違いが見分けにくくなったら、最終乾燥させて終了となります。

 とこの後・・・、終わりかと思って表にしたら、なんと・・・。

 表にもサイズは三分の一ながらも同じような浮きがあったので、同じ行程を上でも繰り返しました・・・。

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 わかりにくいですが、表にも厚めのクリアを載せて、乾燥・・・。二重の手間となっていた・・・。事前にしっかり観察していなかったのがまずかった・・・反省・・・。

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 イヤー、今月のこの暑い中でもブルベはあるそうです・・・、とにかく気をつけてやってくださいね・・・。

 乗る人もコースも企画もすべてに過激なブルベなんで・・・、もしかしたらブルベ向け塗装なんてあってもいいかもしれませんね・・・、とにかく分厚く、トラブルフリーの塗装、色は士気を鼓舞するのに重要なんで、その辺は好みの元気の出る色なんかで、しっかり決めて・・・なんて言うのもありかな?と思うほど、ブルベはヨーやるわ・・・だな、今年は特に気をつけてねー・・・。

タイヤの中の幽霊



 パンクはまあ、良くある現象です。

 ことに酷暑のこの夏は多い、次から次へと自転車を引いて持ってこられる・・・、またか・・・と思うくらい。

 大抵は釘や酷暑など外部の原因でパンクは起こりますが、中には内部の何らかの原因でパンクが多発することがある。

 多くはリムテープのズレ、バリなどが内部原因として考えられるんだが、中にはどう見ても、どの角度から見ても何が原因でパンクが多発するのかわからない・・・という事が起きることがある。

 何やってもパンクが止まらない・・・という事。こういう状態をホイールに幽霊・・・というか荒ぶる何物か、魔物?潜んでいるんじゃないか?と思えることすらある。まずはお祓い・・・でもしたくなるね。

 この自転車のホイールもそうだ・・・という事だ。

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 何度もパンクが連発する。そこで近所の自転車屋に持っていったが、収まらない・・・。

 まあ、こういう時には何というか一から始める、慎重の上にも慎重にすすめていくしかない、原因がわからないことが多いからだ。

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 外してみると、ゴムのふんどしというリムテープが使われていた。前の自転車屋がやったと聞いていたが・・・。

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 ガムテープでとめている。正規のリムテープの上から、おまじないで張ったようなもんだろう・・・。それでもパンクしたというからねえ・・・、一体どういうもんだろう?

 これはおまじないレベルじゃダメということか、ちゃんとお祓いしないとね。

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 まずは、このスポーク穴のまわりを一個一個点検する。バリはないか?ジョイントにズレや傷がないか?等見るが・・・、どうもない。

 こうなると、原因を突き止められない状態で、祈るような気持ちでパンクが起こらない施工をしていくことになります。

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 まずは、縁起が悪いので、元々のものを流用することはしません。その中に原因がある可能性もありますしね。

 テープ式のものを約半分、リムに張ります。

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 そしてもう片サイドがしっかり隠れるようにもう一本テープを貼ります。通常なら一本で済ませる所なんですが、丁寧な上にも丁寧を重ねるわけですね。

 この上から、ズレを防止するために、再度幅のあるビニールテープを貼って固定します。そして、バルブ穴の所ですが、ここも厚めのビニールテープで一度封をして、あとから千枚通しなどで穴を開けて、バルブを通します。

 それだけでないよ・・・、これも半分おまじない・・・、イヤそれ以上なんだが・・・。

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 チューブの一部を切り取ります。

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 そして、バルブを使って穴を開けて、ちょうど床屋の首のまわりかける布のようにバルブ付近にまとわりつけます。

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 あとは、これで普通にタイヤを被して、リムに収めて空気を入れる。そして様子を見る・・・という経過を辿ります。

 この古チューブによるよだれかけ作戦はけっこう効きます。バルブ付近は金属とゴムという異種素材が接触するところであり、また空気を入れる際にそこに力がかかるところでもあります、もまれたりしてね。またバルブ穴は他の穴と違って、リムテープによるカバーがない・・・等三点ほどパンクになりやすい状況が重なっている場所なんであります。

 それが、ゴムのよだれかけがサポーター役、カバー役になるので、思っているより効果があるんじゃないか?と思いますね。

 練習用ホイールには、是非ともこの工夫を・・・、破れたチューブの一部を使えばいいんで、ただでできますね。

 さて、施工して・・・、六時間、まだ空気は抜けていない・・・。そろそろ荒ぶる魂が、鎮まったのでありましょうか?

 雨上がりの夜空に、バイクに向かって「きげん直してくれよ!」と叫ぶあのなんともいえないとりとめのなさ、機械と生き物の間のような思いがかすめることって多くの人になるんじゃないか?

 中には、もっと謎謎々だらけのホイールの魔物もいるので、今回はまだいい方かも知れませんね。原因はわからずとも、あることをすることで続いたパンクが止まったというのであれば、それは何らかの意味があること、という事で、それを続けてみる・・・。施工とまじないの間のようなものだな・・・。

 でも、実際にそれでパンクが止まるなら、その実を取る・・・ということはあることだろう。もし、医療ミスの多い西洋医学の病院と、そいつにかかれば大抵の病気が治るまじないがあるとしたら、皆さんどちらを受けるかな?

 施工には実際、そうした間のようななんともいえない域もある・・・と最近思うようになってきた・・・。

補償とは何だろう?



 まあ、そこそこのペースで事故車が持ち込まれてくる・・・。

 自落、自分で落ちて自分で自転車に損傷加える場合は、単に言われたとおりにしておけばいい。

 是に相手が加わると、ことが一気に絡んできてしまう。

 第三者の保険会社なんかが挟み込まれてくる。当然補償交渉に入るのだが・・・。何をもって補償となすか?ということは、難しい問題のようですな。

 車同士の事故であれば、かなり事務的に事は運ぶらしいですね。まあ、量というか、事故の件数の桁が違うでしょうから、多少は事務的に処理していかないと収拾が付かない・・・のかも知れませんな。

 その延長で、自転車も当然扱います・・・というのがかつての保険会社の方々でしたね。「自転車も五年経てば償却ですから、価値はないです・・・」というようなことを平気で言ってきた会社があった・・・。

 大体高くとも5万以内の自転車の扱いとしては、それで済んでいたのかも知れないが、スポーツ自転車というものが入ってくるや、その状況は一変したんじゃないか?と思う。

 目に見える違いは、値段・・・でしょうな。簡単な事務的処理では済まなくなってきた。と同時に、金だけの問題じゃない、愛着の問題がここに加わってくる。

 自転車を移動手段そしてしか使っていない人と、自転車を目的として使っている人とでは、自転車に対する対処の仕方がまあ真逆近いくらい違うでしょうな。

 そんなものに拘っていたら、いつまで経っても補償交渉は進まない・・・、事務的に処理・・・と行きたいところだろうが、まだそれができるほどのデータの蓄積など、保険会社にはないんでしょうな。それに自転車は生身、対車との事故では、痛い目に遭っている確率が高いこともあってか、あまり冷酷に対処することもできないのかも知れないね。するやつもいるが・・・。

 そんなこんなで、自転車を目的に乗っている人の自転車となると、事務的な物損・・・というような対応より、より複雑になってきているようであります。

 そんな中で、事故の見積もり依頼なんてものが来る。何をどこまでどう直すのか?その辺を巡って、作成していくことになるが、まずやらないのは、事故を過大に見積もってふっかける(そんな依頼は今まで一度も無いが)、仮にそういう依頼があったら、一切断るだろうな。

 できるだけ客観的に・・・というが、事故前の車体を見ていないと、その前後でどんな変化があったか?なんてことは実はわからない。

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 このように、明らかに今回の事故で損傷したとわかるものはいいが、数年乗っている車体の傷などは、それが一体事故によるものなのか?そうでないのか?の見分けは正直付かない。 

 事故の状況を聞いて、その角度から倒れたんなら、多分この辺りの傷はそうだろうなあ・・・という推測はつくが、推測は推測の域は出ない。

 そうなると、まずはもし当店で、この自転車を安全な状態にして、乗れるようになるためにはどのくらいかかるか?という視点から作っていくしかない。

 あと事故が原因か不明のものについては、例えば塗装などをするとすれば、このくらいかかる、というようなことを記述して、あとは双方で話し合ってくれ、と投げ返すことぐらいしかできない。

 そして、見積もりができて提出したあと、十中八九、保険会社から質問が来るのが、「総額でいくらくらいの自転車でしょうか?」という内容。

 昨日、トレックショップから定価の完成車を購入して、事故のあったのならいざ知らず・・・、愛好者がアチコチパーツ交換して、数年経っているものの値段など正確にわかるわけがない。保険屋さんは元の値段を上回る修繕費は出せないという原則があるようだが、それには応えられないんだから、仕方が無い。

 大体は、こういう過程を通じて、見積もりなどをたたき台に双方でやり合って、落としどころを決め、それに差し引きしながら、実際の施工をしていくという流れを取るわけだ。

 ただし、中には、補償の対象になり得るのか?と思えるような、車体もあった。そういう車体に限って、大事に乗られていた。さて、難しいのはこういう車体の補償交渉・・・だろうなあ。

 事務的な補償であれば、まあ雀の涙・・・だろうねえ。

 ただし、その方にとって、どんなに古くみすぼらしく見えようとも、その自転車は相棒で、そいつと一緒にやって来た生活があったわけだ。ただの金銭換算で片付けられ手は困る問題でもある。

 そういう時の補償というのは何を軸にしていくのだろうか?なにか下地になるような事例でもあるのだろうか?確かに年くらい前かな?・・・そんな案件があった。

 その時の補償というのは、自転車という物損・・・を越えて、その人の自転車との関係の深い日常を取り戻すには?という所に視点が変わっていったように思う。

 結局元の自転車から、つかえそうなパーツをすべて外して、整えてから、代替になるような古いフレームを探してきて、組み付けるというようなことをしたように記憶している、詳細は覚えていないが、やたらと時間のかかった案件だったことは覚えている。

 補償というのも大変だね・・・。本当人それぞれだ・・・。

 まあ、事故案件は何度も取り扱ってきたが、幸い後遺症の残るようなひどい身体的損傷を伴うものはなかったが、そこまで行かなくとも、今思えば、色々あったなあ・・・と思い出す。

 丁寧な保険会社、気の合った調査員、最低なタクシー系保険係、史上最悪な弁護士(第二弁護士会)・・・。落ち着いた人、柔和な人、常識的な人、怒り心頭な人、小狡い人・・・。

 今もいくつか抱えていますが、常に長期戦と思って付き合っています・・・、これも避けられない仕事なんだろう、と思いつつ・・・です。

おおまた君か・・・あれからどうだい?



 久々ですね、もう二年過ぎになりますが、あれからいかがです?ダイブトンチンカンな質問をしているのかもしれません、虚空に向かってなのか?

 レトリックがさして好きではない作家が、イワシという名の猫を飼っていた、そいつは大変手のかかるネコだったようだ。それが亡くなったとき、紀伊國屋の袋に入れて、近くの山に埋めてやったという。
 そして家に飼ってきてから、今頃イワシは何しているんだろう?とふと思ったらしい。

 死んでしまって、先ほど近くの山に埋めたネコが、今何しているのか?を問うことの虚無感というのか?また無性に問いたくなったのか?問うことの意味までは問わずに、ふと思ってしまったのか?それとも問わざるを得なかったのか?

 亡くなったものは亡くなったきりで、生きているものだけがジタバタしている・・・、ジタバタしながらもそう問わざるを得ないことの永遠の独り相撲、妙に印象に残っている描写なのであったが、ただただ、細かいレトリックが嫌いな作家なのである・・・、何度もノーベル賞を取り損なっているらしいが・・・。

 この車体を見ると、どうもその虚空へのといがわいてくる?何かどこか、元気でやっているかな?店主の全く関知できないどっかの次元で・・・と思ったりする。

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 このサンスターの取り付け式電導ユニットを探してきたとき、ネコがネズミを捕ったがごとくにはしゃいでいたな。

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 このいかにも跡づけ式電導のようなサンスターのユニット、当初サンスターは、一般の自転車に後付けできるようにと開発したらしい。当の開発部長らしき人と電話で話して確認したもんな。

 高齢社会で、乗っていたそれまでの自転車がいろんな意味できつくなってきたら、これを後から取り付けることで、電動アシスト車に変身することが可能となれば、まさに夢の電導ユニットと言うことになる、はずだった・・・。

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 アイデア自体は大変素晴らしいが、法律というか、業界の規約か何か知らないが、とにかく阻まれて、単体売りができなくなったそうだ・・・。つぶされた形だな。

 こいつをどこからか引っ張ってくるや、これにいくつ以上のギア比を取り付けて、誤動作させましょうよ・・・、60キロくらいは机上の計算によると出ますよ・・・と。

 例えば、前60T、後ろ13Tなんかでもいいの?そう!その乗りで、しかも前に出る頑丈な鉄フレームで、剛性のあるホイールで組んだら、計算上は60キロオーバーにはなると思います!

 コツはですね、このシリーズの一番小さいホイールに付いているユニットを外して、700Cをはかせたフレームに載せることです、そのホイールのでかさのギャップで、誤動作を誘発する、ギャップはでかければでかいほど誤動作もでかくなる、60キロも夢じゃない、ということだった。

 そんなことができたら、バンクに持って行って、牽引の練習とかにも使える?使えるかもしれませんね!!!

 まあ、大人のバカ遊びだった、計画で終わってしまったが、あの話は面白かった・・・。

 もし可能だったら、日本全国のトラッククラブをリストアップして、そこに一台ずつ営業かける・・・なんてこと夢想したもんなあ・・・。

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 それから比べれば、今回の依頼なんておとなしいもんだ。

 どうもこのギア比では、家の周りの山岳コースには絶えられない・・・、もう少し全体を軽くはできないか?というね。

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 シマノは、この辺のギアも単体で何種類か用意してくれている。そうさなあ・・・、

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 誰がいつ、どんな車体に取り付けるのかわからないが、23Tなんていうのがあったので、こいつを取り付けてみたよ。

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 それでチェーンも長くしてね。

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 そんなことしたら、大変なことになった。一番軽くした状態で踏み出そうとしても、小径車で劇軽ギアだと、底が抜けて様で、バランスが取りづらく、何度も足をついて、発進できない・・・。

 一番重いギアにして、ようやく前に出てくれる感じ。ちょっとした丘陵だったら、こいつら使えるかも・・・と思えるようになったんで、依頼主には返すことにする。試乗してもらって、もしもっと軽いものをと来たら・・・、君じゃないが、今の前ギアの取り付け穴などを利用して、二回り小さい前ギアでも作るかな?

 しかし、お役人は面白くもおかしくもない、ある意味それでいいのかもしれないが・・・つぶすことは亡い・・・。たぶん大手をかばってのことなんだろう・・・な。

 こいつが来ると、思い出すよ、そして虚空に、今頃何してんだ?と、思えてならない。そしてまた店主自身は自分が何してんだろう?と思うことがあるよ、重要な指針を示してくれる、君の声が最近聞こえてこないからな・・・。

 

遊びは境地 遊ばれるのも遊ばされるのも全く異となす

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 突然の話が盛り上がり、一泊であったが、伊豆のこちらにお邪魔した。

 内容からするとおすすめのの場所でありますね。実に緩くゆったり時間の流れるところでありました。

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上流にわさび田があるので、川の水がきれいなんでありましょう。農薬とかも使っていないんじゃないか?この時期にこのキャンプ場に蛍が発見されている、店主は見なかったが。

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 こんな人並みのことをやってきたんであります。

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 テントも車も借りましてね・・・。

 一泊でしたが、こんなレジャーなど、久々というか、ほぼ初めてに近い感覚なんであります。

 筒井康隆の初期の名作だと思うんだが、「幸福の限界」という作品があるんだが、こいつの影響はよほど強かったらしい。高度成長期のある男を中心に書かれた作品なんだが、思い当たるところ多々ありで、苦笑を通り越す。

 ある典型的なレジャーの話がある。民族大移動というような時期の車の渋滞に次ぐ渋滞。子供達は、全く動く気配のない車の間で、鬼ごっこをする始末。

 何時間も車に閉じ込められながら、たえる。このレジャーのための忍耐感とはいったい何なのか?いや、言い換えれば、レジャーなる気分を消費するためだけのこのどうに、なんとまあ忍耐強いことなんだろうか?と言い換えてもよかろう。

 実際に、遊んでいるのではない、遊ばされている、遊ばれているに過ぎないのに・・・。

 そして、人だらけの湯気の立ちそうな海岸からへと、入っていく人の群れ、みんな額に汗をし、薄笑い浮かべながら、沖への行進をやめようとはしない、その内自分がすでに溺死した死体を踏んづけて沖へ向かっていることに気づきながら、あたかもフレミングが集団自殺に向かうがごとく、薄笑いを浮かべて、沖へと人の漏れが進んでいく、というところで終わる・・・。

 さて、海に行こう。会社の保養施設が伊豆にある、みんな用意して、車に乗り込む。子供の一人が走って一時間以内に、車酔いで嘔吐する。

 イライラ運転のオヤジが、母親を怒鳴りつける。車の前半分で、夫婦げんかが始まる。車の後ろ半分で、兄弟のゲロのにおいをかぎながら・・・、今年の夏休みもまた始まったよ・・・と。

 でも子供だから、海に入ったいるするのは楽しいんだが・・・。

 本当に遊んでいるの?遊ばされていません?遊ばれていません?

 そういう疑念がずーっと、店主にはあって、なんとも決まった休み期間に、他と歩を同じくして、休んだり、どこかへ行ったいるするというのが苦手なのであった・・・。

そして、あの行楽地というか、観光地・・・。わざとらしい、映画のセッ、トのようなしつらえ、本当は名古屋か中国で作っているものをお土産という気分のために消費する。ご当地グルメとか言いつつ、なんで伊豆でサーモンなんだ?

 新潟柏崎の鮮魚センターなんだが東京からわざわざバスを仕立てて、押し寄せては鮮魚を購入しては、東京に戻るんだが・・・、その何割かはその前日、筑地からトラックに乗って運ばれてきたもので、そいつがまたバスに乗って東京に戻るに過ぎない・・・・なんて話も聞いたことがある。

 なもんで、どうせやるなら、自分たちで意味を見つけ出して、自分たちで本当に遊べるようなことでないとねえ・・・と思っていたんだが・・・。

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 そのキャンプ場から、奥に入っていくと、風車があった、正確には風力発電施設がね。これって、中部電力だろう?原発は確か一機のみ、最も原発依存率の低い会社でもあろう・・・、へえ、こうやってすでに仕掛けているのね?

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 その奥のどん付きに、三段の滝というのがある、これが面白い。

 中には、それなりの装備でダイブしている、ひともいたが・・・。

 ちょっと工夫すると、結構修行のようなこともできそうだ。

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 滝に打たれてみるのもいいかもしれないね。呼吸を整えるのが難しい、でもその代わりにいろんなことがわかるはず。

 そして、滝は風を引っ張ってくる、それも清廉な風。

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 行った人間が代わる代わる、滝壺に入ってみる・・・。
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 ここはもう少し、装備を調えると、一日遊べそうだわな。しかも、修行者ないが、清めなんたるかに接触するかもしれない。もう少しやってみる価値はありそうだ。

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伊豆なので、海にもお邪魔した。 何年ぶりで泳いだかな?

たったの一泊でずいぶん濃厚な移動ではあったが、やはり遊ばないとね。ただ、難しいのが、遊ばれているのと見分けが付きにくいことかもしれない・・・。自分たち独自の視点とアイデアと、準備が必要だ、そういう意味で、追求する価値は大いにありそうですわ。

 それが今回の遊びの収穫。もちろん、もっと自転車を絡めることも重要で・・・、仕事にしないで、いかに遊ぶか?ということも重要かもしれませんな。

 さて、今後どうなるかな?
 

プロフィール

狸サイクル 店主 遠山健

Author:狸サイクル 店主 遠山健
狸サイクルと書きまして、リサイクルと読みます。
中古フレームは化かしますが、お客は化かしません。自転車提供を始めて17年。
今までは口コミ中心でしたが、今後はこうしたメディアを利用しながら、求められるところを彷徨していきます。

 店の所在
〒202-0014
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