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一癖創作自転車家 狸サイクル 西東京 青梅街道 新青梅街道 伏見通り

ロード・ピスト系自転車に興味のある人。買い方乗り方が分からないという人。持っている自転車を改造してみたいという人。自転車のイベントに参加したいと思っている人。ご来店お待ちしています!

ベトナムからお帰りなさい そして日本でまた!



 チョイ前のFUJIフェザーですね。アチコチで走っているので、珍しい車種では決してありませんし、イジリ慣れているタイプの自転車でもあります。

 そうであるにもかかわらず、今回のものは、大ものだったんですわ。一体どこが?ということですが。

 ココです。

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 錆びた車体などは今まで一体何台扱ってきたか?数えると切りがないくらいやってきましたし、多少の錆などには驚きませんが、今回の錆は、その錆の進度というか、深度といかは、ちょいと今までの比ではありません。

 どうしたらここまでになるのか?持ち主の方に聞いてみましたら、なんと・・・。

 ベトナム帰りだと言うんですね。

 ベトナム?

 はい、ベトナムで日本人学校の教員で働いていたとき、これを使っていまして、決して雨ざらしにしていたわけではないんですが・・・。

 日本も高温多湿・・・でありますが、やはり、ベトナムはその相当上を行くんだなあ、とこの錆の患部を見て思ったわけであります。

 日本であれば、草津や別府などの温泉地の硫黄の成分が豊富なところであれば、こういう事も起きるかも・・・というレベルでしょうね。特殊なケースですよ、これは。

 うーん・・・。世界最強の物量を誇るあの米軍のほぼ総攻撃でさえもしのいだ、あのベトナム。勇敢な兵士達だけでなく、驚異的な湿気による錆とカビによって、米軍の兵器管理を非常に困らせた、と聞いたことがありますが、ある意味その現物のようなものを前にして、愕然とするわけであります。

 で、これをどうしたいか?

 通常なら、もう買い換えなさい・・・、通常でなくても、当店ですら喉の手前までそんな言葉がついてでそうな車体なのでありますが・・・。

 できれば、これをもう一度フレーム自体を整えて、乗れれば嬉しいんですが・・・ということでした。

 まずは預かって、完全剥離したあとにフレームの状態を見てからでないと、なんとも言い切れない・・・というのが正直なところ。

 では、剥離をしてからの判断・・・ということになりましたが、イヤー、どうしたものか?

 まずは、外せるものを外して、フレーム単体にしたい、そうしないときれいな剥離ができませんからね。そこで外せるものから外してときましたが・・・、BB付近がこれが固着とさび付きでとれません。全くビクともしないんです。

 延長棒から、万力作戦も多角的にやったんですが、とれません。これ以上続けたら、工具がやられる。以前一個割ってしまった経緯がある。鍛造の鉄をですぜ!

 でも、今回色々試したが、全くビクともしない・・・、ということは最後の手段を使うしかない。

 破壊方式・・・。回してとれないなら、壊してとる。固着したパーツに亀裂や何やらをできるだけ入れていって、あとはタガネなどを利用して剥ぐようにして割ってとっていくという手。完全な荒療治です。

 これは根気との勝負、ひたすら根気との勝負なのであります。

 ちょいと時間が取れている間、つまり暇な時期に、ポキさんがちょこちょこやっていきまして、大体3日目くらいだったかな?

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 やっと・・・。一月分の握力を使い果たして、疲労困憊の状態で外しきる。おみごと・・・。アンタはエライ!お疲れ様でした。

 そして、工程は第二の段階に、入ります。当然次に待っていたのは大森社長。

 これはパテ使いますか?使わない、ではどのくらいに?・・・、前の錆で残るものは残して、それを味としての磨きをご要望?・・・むずかしいですねえ・・・と。

 言葉少なに、フレームフォークを受け取ると、磨き部屋にそっと入っていきました。

 それから大森社長の消息は知れず。といっても、磨き部屋にいたんでしょうが、目撃情報がない、まあ誰もあけて中を見ませんし・・・。

 寝食はどうしたものやらとは、多少の心配にはなれど、デカイ磨きの仕事になればなるほど、彼は独自の道を歩むので、もうコチラはどうしようもない。

 禁断の磨き部屋が締まってから、一体何日経ったことやら?これでどうです?と持ってきたのが。これ。

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 コンマ何ミリまではいっている錆は黒錆転化で処理して、その手のクレーターを残したままあとは、ヘアラインの磨きを入れています。

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 コレもんだったんですよ!手でパリパリ層が剥がれていく状態です。

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 それがこれです。クレーターというかあばたが、あたかも金属工芸の表面加工のように、見えますね。

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 ココも深いよねえ、錆というよりタダレに近いかな?

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 実際の錆は見えているところよりも範囲が広い。

 でも一番錆が集中していたところといえば、やはり、水は一番低いところを目指して移動する、という訳なのでしょうかね、やはりBB付近が重症でした。

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 すごいでしょ?まるで古代の鉄器が遺跡から発掘されたような状態。正直もうこれが限界かな?と思っていましたね。

 ところが剥いてみると、鉄の底力というのか?まだ、もう一働き行けそうに見えてくるんですねえ。

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 この鬼の艶は、大森社長から受け取った店主による、もう二度とサビさせません!!!という意志を込めて振り掛けた防錆剤とラッカーシンナーの下地。

 その上から、艶ありのクリアをまた分厚くかけた、というわけです。これで肉眼ではほぼ完全コーティングされてはいる筈なんだが、実際使い始めると小石などがあたって塗料の割れなどが生じ、そこから顕微鏡的な規模での錆の発生・・・ということも全くないとは言い難い・・・んですが。

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 正面から見ると、こんな感じの状態です。

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 こそげ取れるものはこそげ取って、ブラスブラシを完全に回しきると錆の完全撤去ということで形跡はあばたのみになりますが、黒錆状態(安定状態)を残して、ご覧の通り先の防錆剤とクリアを分厚くかけているわけです。

 ちなみに、BB脇からみえる黄色みがかっているものはグリスであります。

 BBソケットは、もう二度と固着や錆を寄せ付けないように、しっかりとタッピングして、フェイシングをして、たっぷりのグリスを入れて、新しいBBを装着しています。

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 前輪も振れ取りなど、しっかり真円を出して、タイヤの入替など、生き返らせます。

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 後輪も同じく振れ取りなどをして、小ギアやチェーンなどを新品に交換して、なんとかやっと、できあがり!
 というところまで漕ぎ着けました。

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 オット!忘れちゃいけない、一点豪華主義、ブルックスの茶マンジュウ君です。一気に味を出しますな。

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 何か生き返った感じがしますね。もちろん、これからの使い方は余生ということで、ガシガシ踏むというような乗り方は避けるべきかもしれませんが、通常乗りであれば、全く問題はないと思います。

 まあ、今回はちょいと、ゴーマンかましてよろしければ、当店ミツドモエの誇り高き連携による再生!といえるのではないか?と思っています。

 この一台が来てから、コイツのコードネームは、「ベトナム帰還兵」。

 どうしようか?そろそろあの帰還兵やらないとねえ・・・、時間があるときだとすると・・・明日以降か?てな具合で構えていたんですね。

 誰も、こんなになるとは、最初は半信半疑でした。店主ですら、もしかしたら今回はダメかも・・・というメールを依頼の方に対して、早々に出していたんですね。

 突破口は、ポキさんの粘り壊し!それから一気に磨き、塗装という運びですから・・・、できた今でもちょっとした奇跡を見た感じです。

 ただ、この一台が再生となったのも、そもそもは乗り続けたい!というご依頼者の方の強い意志があったこと、コレですね。普通なら、日本に帰ってきたことだし、コイツとはお疲れさーんでお別れして、一丁、新車と行くか?ですものねえ。

 それを、ベトナムで一緒に乗ってきたコイツだからこそ、また日本でも乗りたい・・・という御希望。やさしいなあ。店主もどちらかというと、そういうサイドの人間であるとは思いますが・・・、でもここまでは・・・。

 自転車が再生して、再度街道を走るというのは、改めて、技術だけの問題じゃないんだ、と再度学ばせて頂いた次第です。

 まず、乗りつづけることをまず最優先に考えていくとしたら?という視点から、ものを考えていくよう、それを出発点として、すべての依頼の意味を考えるように、シフトしていかないといけませんな!

 今まで以上に、深部へ向けて!

 ※すべての産業は隙間、である。そして、見つけその隙間は、決して広げてはならない。隙間は深めよ、その先の深部を目指して。
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プロフィール

狸サイクル 店主 遠山健

Author:狸サイクル 店主 遠山健
狸サイクルと書きまして、リサイクルと読みます。
中古フレームは化かしますが、お客は化かしません。自転車提供を始めて17年。
今までは口コミ中心でしたが、今後はこうしたメディアを利用しながら、求められるところを彷徨していきます。

 店の所在
〒202-0014
東京都西東京市富士町6-6-13
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携帯070-5083-6962
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