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一癖創作自転車家 狸サイクル 西東京 青梅街道 新青梅街道 伏見通り

ロード・ピスト系自転車に興味のある人。買い方乗り方が分からないという人。持っている自転車を改造してみたいという人。自転車のイベントに参加したいと思っている人。ご来店お待ちしています!

パーツから何を見る?



 これはカンパのベローチェというグレードのブレーキです。かつてはこのグレーでもスケルトンという肉抜き加工がされていたんですが、しばらく前からそれもなくなり、近年ではこのような肉抜き加工前の型、のようなブレーキとなっています。

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 このベローチェをちょいと鉄フレームに付けてみたんです・・・。

 実は嘘で、昨年前までのグレードでいうと2クラス上のアテナというところに所属していた、正真正銘のスケルトンブレーキなんですね、2015年モデル。グループ外扱いになったようですが・・・。

 外してみましょうか?

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ちゃんとスケルトンになっているでしょ?
ただ・・・、ちょいと旧タイプのアテナと比べてみますか?

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 興味の無い人にとっては、ブランド品のロゴの角度がちょっと変わった・・・レベルの話に過ぎないかもしませんが・・・、長い間カンパニョーロの物作りをその考え方からも含めて追いかけてきたものたちにとっては・・・、どう見えるでしょうか?

 ちなみに2015年版の肉抜き加工の仕上げを見てみます?

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 前の写真で、一足先に劣化したと思われるベローチェと角度によっては、同類に見える原因はここにもあった・・・ということがいえると思います。

 これはいわゆる従来からのカンパの仕事では断じてありません。

 並べてみます。

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 カンパの持っている優雅でところによってやってくれる華奢感が、旧タイプにはまだ健在ですね。握って放してみると、カチッとカスタネットになるのが、シマノ系のブレーキアーチ。張力のあるブレーキレバーとの引っ張り合いで反応を引き出す考え方なのでしょうか、これはこれで良い。

 それに対して従来のカンパブレーキレバー自身はブランブラン状態で張力を持たず、ほんの少しインナーにあるシフトレバーにリターンの弾性がある程度に作られていますが、そうしたレバーにはそんなカスタネットに準ずるような強いリターンは必要ない、どちらかといえばフワーンと戻る程度のいい。もしブラインドテストしてわかるとすれば握って放したあの感じで・・・カンパだ、とわかる。

 だから、カンパのブレーキの引きは独特で、店主の好みをいえば他の追随を許さない良さがあっただがなあ。

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 右が旧タイプアルミの素材からして違うのかな?そして、華奢なところは華奢でありながら、大胆になところは大胆な太さを体現する、そうした「このヤロー!」的な魅力もカンパならではだよね、イヤ、だったよね。

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 これが旧タイプの背中。

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こちらのボテッとしたのが、2015年タイプの背中。表面仕上げの状態や、肉抜きもされていませんね。

 まあ、これがアテナの看板を取り下げて、グループ外に持って行かれた?ということなのでしょうか?

 それならそれでいいとして、では従来のアテナは?となると、これがない、ということらしい。

 当店、今年よりオリジナル鉄フレームを始めておりますが、いろんな組み合わせを考えていく中で、最高級コンポはカンパアテナ、と決めていたんであります!それが年に一台出るか出ないとしても、工芸系でくみ上げるレーサーに載せる高級コンポはアテナ、以外にはない!とさえ考えていたんでありますが。

 このブレーキを2015年ものと聞かされ、正直どうやっていこうか?悩んでおるわけであります。

 昼飯を削りつつ、なけなしの小遣いを貯めてようやくアテナをって思って付いてきたのがこのブレーキで、納得いかれますかね?往年のカンパファンは。

 もしかして、ロットの問題かとも思い、仕入れ先に問い合わせてみると、別段これがひどいレベルではありませんというお答えでした・・・、が長い間カンパニョーロを誇りを持って扱ってきた業者さんだけに、「イヤー、まあ、最近ねえ・・・下位コンポからなんていうかねえ・・・」というお話。

 「肉抜きの仕上げなんかは?ひどすぎると思いませんか?」「まあ、そこはねえ・・・・」と。

 「でもカンパファンって、そういうところに細かいということは」
 「当然存じておりますとも!」と。

 日本の代表をしている方からも、ご丁寧な説明と対応をいただきました。

 自らの百パーセント出資の会社をアジアの自転車生産地に立ち上げて、生産管理をしっかりしながらやっておられる、というご回答でありました。そして最後に、もしその水準がダメというのであれば、送り返してください、と一言付け加えられたんですね。

 本当、取扱業者さんにしろ、日本の代表の方々にしろ、心底カンパを愛しておられるし、そしてなによりもカンパを愛している愛好者の気持ちをよーく理解しているんだ、ということがわかる一言でありました。

 従来カンパニューロという会社がどういう会社で、会社の方針に基づいてどういうものを作って、提供してきたか、そうしたものたちの一体どこが愛されて、今まで愛好者を生んできたのか?ということが心底わかっている。だから!だからこそ!今回のできに関しては、返品に応じてくれる姿勢があるんだと思うんです。

 良いものを作る、それを量産していく態勢を整える。そして、量産態勢をより安くしていくことを考える、なれば労働力の安いところに行くしかない、工場が海外へ移動し始める、国内生産の空洞化が起こる、より安い労働力を求めて彼の地へと工場などが集中し始める。

 賃金が安い内はまだそれでも、商品の質は(「左翼」的にいえば、労働者の犠牲の上に)持ちこたえられたのかもしれないが、徐々にその地域での賃金が上昇し始めてくる、ではまた安い労働力求めて工場を移転するか?という選択で、すぐにそれができないとなると、今度は、素材の質を落とし始める、製造の工程を抜き始める・・・ということが起こるのでしょうか?こうなってくると品質の悪化に直結なんであります。勝ち抜くために・・・。

 安くてダメなものが大量に作られる状況になってきます。極端なことをいえば、行き着くところ百円ショップレベル・・・。

 子供の頃は、技術は進歩する、科学は進歩する、日進月歩だ!という信仰の上に、世界は成り立っていたんでありますが、今の子供らの持っているおもちゃと、店主世代の持っている、例えばミニカーでもいい、比較してみると、即物的には退化している、といっていいんじゃないか?

 技術や産業の進歩には、それそのものだけでなく、それを推進する別の仕組みと相まって、起こってくるんでありましょう。

 その仕組みが本当、健全な方向へ向いているのでしょうかね?

 進歩したのは、安く作る技術やその辺のことで、最先端の分野は知らんが、量産態勢に入ってくるものに関しては、品質については落ちたといっていんじゃないか?

 そして、ついには自転車の高級部品とされてきた分野にも量産による、品質落としの波が、急速に広がってきたということなのでしょうか?

 そこそこのものが安く入手しやすくなったんで、いいんじゃないの?というご意見や、別の観点、例えば経営の観点なんかもあっても悪くは無いと思います。現にそれによって、アテナはこうなった。

 しかし、かつては(といってもほんの数年前です)できていたものや大切にされていたものが、一体何でできなくなり、切り捨てられたのか?ということが大いに疑問なんであります。ある仕組みが動いたんでありましょう。しかし、それが動くことで、一体誰が幸福になったと言えるのでしょうか?勝ち抜いたあと何があるんでしょうか?

 幸福になりましたか?百円ショップもので・・・。なんか変だ、どこかおかしい・・・、いやいや、元々からおかしいが、最近殊におかしい・・・という、焦燥感にも似たような実感が徐々にあふれ出てきてはいないだろうか?

 みすず書房という、老舗の学術書の出版社で、初版せいぜい二千部なので、一冊が高い・・・そうしたみすずから出た5、6千円もする経済書が飛ぶように売れているという。

 何かおかしい、みんながこんな世の中望んでいるの?何が一体こうしているの?という実感レベルの疑問に対して、学知的見地からの答えをどれほどが希求していたか?ということの表れなんじゃないのか?

 かつてはできたはずのものが、技術や知見は進歩しているにもかかわらず、何らかの仕組みによって、これからのアテナに準ずるコンポはこの水準になります・・・、ということだ、一体誰が幸福になる?

 こういう仕組みで、勝ち抜いて、巨額の富を得るとして、それで何買うの?また安物作りへと投資しようということか?なんだ銭って?なんだ投資って?そもそもなんだよ成長って?

 のんきに自転車にばかり乗っていられる時代ではなくなってきたようでありますな。

 ようやく自転車乗りたちが、こぞってピケティーを読む時代が来た、ということでしょうか?

 かつてのカンパの復活を!と思うのだが・・・。心底応援したいと思うのだが・・・。
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プロフィール

狸サイクル 店主 遠山健

Author:狸サイクル 店主 遠山健
狸サイクルと書きまして、リサイクルと読みます。
中古フレームは化かしますが、お客は化かしません。自転車提供を始めて17年。
今までは口コミ中心でしたが、今後はこうしたメディアを利用しながら、求められるところを彷徨していきます。

 店の所在
〒202-0014
東京都西東京市富士町6-6-13
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