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一癖創作自転車家 狸サイクル 西東京 青梅街道 新青梅街道 伏見通り

ロード・ピスト系自転車に興味のある人。買い方乗り方が分からないという人。持っている自転車を改造してみたいという人。自転車のイベントに参加したいと思っている人。ご来店お待ちしています!

STIを直す



 あまり当店には来るタイプの車体ではないかもしれないが、アルミのディスクロードがやってきた。

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 スコットだってさ。案件は、フロント周りが変速しないんで、様子を見てほしいという、ものでありました。

 まあ、基本に従い、チェーンをインナーにもっていき、インデックス調整し、アウターもやって、ワイヤーの伸びを見て、まあ、そんなこんなで大方大丈夫だろう?と左STIを倒してみると、全く手応えがない。カチッという通常あるラチェット感が全く無く、フラフラ、ユラユラ、倒れるだけ・・・。

 あれれ?やな予感・・・。もしかして、STI自身の不調?そうだということになると、シマノものは大変だ、なんせ内部の公開をしていないんで、ほぼブラックボックス。

 カンパのような展開図がない、カンパはエルゴの内部公開と、スモールパーツ展開はしているが。シマノは内部非公開だし、それに基づくスモールパーツ類も発売されていない。

 今までは、ちょっとした届く範囲の洗浄と注油で、なんとか機嫌を取っていた、程度。

 かつて自分のSTIを分解したことはあるが、まあ公開していない分、きれいに分解ができにくくなっている、アチコチにカシメあとだらけで、そもそも分解など想定されていない。

 さて、もしSTI内部だとすると厄介だ・・・。でも原因だけでも突き止めておかないと、仮にまるまる交換としうことになっても説明がつかない。なれば、少し開けてみるか・・・。

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 ブラケットをめくる・・・、

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 その下のカバーが取り外せるようになっていた、思ったとおり複雑だ・・・。でもまあ、むき出しのまま動かしてみると、段々と何故空回りなのか?ということが解ってくるようになる。

 爪が引っかかっていない・・・、爪が引っかかれば、内部のコロのようなものが動いて、フロントメカを引っ張る・・・。なるほど・・・。

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 この店主の人差し指のかかっているところが、その爪に当たるところ。こいつがほんの一ミリほど下がらないために、空回り現象が発生している。

 ということは、・・・その他のスモールパーツ類は全く問題がない、ただこの爪一つに応力がかかっていないがために、空回りしてしまうということか・・・。

 もったいなさすぎないか?これで左STIまるまる交換なんて・・・。ただ爪に対する応力・・・だけでね。

 じゃあ、なんで応力がかかっていないのか?ということを仲間のSTIを比べることにしよう。

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 たまたまあった、アルテのSTI。ほぼ同構造をしているので、こいつを外して中を観察。

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 ウーム・・・、なになに?たしかにこいつの爪には応力がかかっている、その源は?と見ると、細くて小さい弦巻バネが爪にしっかりかかっているではないか?

 では、九段のSTIは?と見ると、そのバネがない・・・、というか、脇に気づかなかったが、実に細いバネの破片が見える。そいつを・・・

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 これらを使って、引っ張ってみると、爪にかかるべきバネの先端がほんの数ミリ折れていたようだ。折れたことで爪を押さえつけるトルクが足りず、変則のコロの力に負けて外れて脇に縮こまってしまったようだ。

 さて、このバネ・・・。カシメてあるパーツにかかっているものなので、外せない、ということはもちろんスモールパーツとしては売ってはいない。では、こいつを大事に使って、爪に応力をかけるように・・・とやってみるが。

 バネを引っ張ったり、折る部分を広げたり、なんのかんのやっていると、バネ自体の力がどんどんなくなっていくような・・・、どうしても小さいのと細いのと狭いので、引張気味になる、そうなるとバネから単なる針金化してしまいガチ・・・、どうもセットしてみるが、一回は力がかかっても、二回目には変速のコロの力で飛ばされてしまう。

 まあ、このヨレヨレバネは諦めよう・・・。と引っ張り出して、別の手を考える。

 もう正規のやり方で、このSTIを再生させることは絶対に不可能である・・・。緊張するよな、人様のパーツ壊してしまって・・・、さて、本当、どうしよう?

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 この手のクリップで、バネを作ろうと何度か試したが、なんせカシメのコラムに巻かせることはできても、ほしい応力が得られない、これじゃあ、ただの丸めた針金じゃん・・・。

 全く別のやり方を考えねば。

 だって、バネ応力以外、どこも壊れていないSTI・・・、しかもそこだけ見ると単純な機構・・・、バネに引っぱられることなく新たな発想で、爪に応力をかける方法は?

 ちょっとひらめいた、もう思いつきだろうが何だろうが試すしかない。

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 ネジを利用して、爪に力をかける・・・。できなくはないが、デカすぎ、太すぎであります。

 その下の棒は、ステンレススポークを削ったもの、こいつを応用して・・・。

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 まあ、写真じゃわかりにくでしょうが、バネの頭が入っていた穴の大きさにスポークを削って、そこに強く差し込んで、内側に曲げると、例の爪の上にこの棒が覆いかぶさる形になって、常に応力をかけてくれることになる。

 実験すると、なんとかできそうだ・・・。

 ということで、試作から本作に。

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 スポークを旋盤にかけて、スリムにします。穴の大きさちょうどにして。

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 微妙は太さは、旋盤から、ボール盤に付け替えて、今度は回転ヤスリを当てながら、ドンピシャの直径に。

 長さを整えて、さっきの穴に、強力接着剤をつけて、この加工したスポークを打ち込む・・・。三ミリくらいは入ったかな?そして、ちょっと内側に曲げて、件の爪の上に常に応力をかけるように設置する。

 あとは接着剤が乾くまで二時間ほど待てば・・・どうなるかな?

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 結論を先にいうと、再度使えるように。ただ癖が残った。

 このように、インナーからアウターにチェーンのかけ替えを行うと、

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 抛っておくと、このインナーレバーが戻らないという状態になります。ただ一手間ですが・・・、

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 このように、親指で内側へレバーを戻してやれば、連続使用は可能・・・である、というところまでこぎつけました。

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 これまるまる左STIの交換となると、アチコチ外して、ワイヤー入れ替えなどやったら、15000円位かかりますね。

 だとすれば、コンポ自身の丸とっかえも考えるので、施工はしないでください。という指摘もあったんだが・・・。

 ただ、STIを105油圧ものにしたりすると、ドミノ的にアチコチ交換しないといけなくなると、結構値段はかさむよね・・・。ということなどを考えると、店主自身の勉強も兼ねて、STIをいじってみる選択肢もあったかな?とは思う。

 ただ、あとどのくらいの使用に耐えられるか?だよね・・・。

 今の接着剤の高性能さと、ステンレススポークの強度・・・しばらくもってくれることを願うね。頼んだよ!
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プロフィール

狸サイクル 店主 遠山健

Author:狸サイクル 店主 遠山健
狸サイクルと書きまして、リサイクルと読みます。
中古フレームは化かしますが、お客は化かしません。自転車提供を始めて17年。
今までは口コミ中心でしたが、今後はこうしたメディアを利用しながら、求められるところを彷徨していきます。

 店の所在
〒202-0014
東京都西東京市富士町6-6-13
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